1. 想定外を逆手に取る
新型コロナが与えた大きな影響の一つは健康維持へのニーズの高まりであり、クラブはそれに応える理想的な立場にあると言えます。
2022年にマインドボディが16,000人のアメリカ人を対象に行った調査では、会員の興味を惹くにはウェルネスのためのサービスが不可欠であることが示唆されています。この消費者レポートでは、78%がウェルネスをこれまで以上に重要視しているという結果が出ており、消費カロリーの大きさを重視する従来の概念は、より進歩した考え方に取って代わられていることが明らかになりました。現在、消費者はウェルネスという言葉を、コミュニティや帰属意識の発見と、精神的・身体的・スピリチュアル的なものをひとつに結びつける相対的な意味を持つ言葉として捉えています。
このことはクラブにとって、印象に残るフィットネス体験を会員に提供し、忙しい現代人にとって真の拠点となりうるスペースを提供する立場を確立するチャンスを意味します。マインドボディが行ったアンケートの回答者は、クラブでの体験にマインドセットの向上を求めていると語っており、これはクラブがよりマインドフルな体験の需要に応える必要があることを意味しています。
2. 会員を通じたマーケティング
デジタル広告のコストがますます高くなる中、既存会員から紹介は新規会員を獲得するための効率的かつ効果的な手段になります。会員が友人に入会を勧めた際フィットネス関連のギフトを提供することで、その会員の努力と重要性を示しましょう。そうすることで、その会員はより定着し、またより強力な支援者となってくれます。
そして、現代の会員にとって素晴らしい体験とは、SNSでシェアする価値があるものだということ忘れてはいけません。
世界的に有名なクラブ経営者ハーブ・リップスマン氏は、会員にクラスを体験してもらうために、クラブのソーシャルメディアを活用することはマーケティング活動と同じくらい有効であり、「私が長年経営してきたクラブでは、グループエクササイズが会員売上とソーシャルメディアを介した会員紹介の一番の原動力となっている。」と言っています。
「会員は、お気に入りのトレッドミルやレジスタンスマシンについて話すのではなく、素晴らしいインストラクターに習ったクラスを絶賛したり、汗だくの自撮り写真を共有したりするためにFacebookやInstagramを利用するのです。それこそがクラブの認知度と露出度を高め、継続的な見込み客の流入をキープするための鍵となります。」
3. 長期戦で挑む
1月に新会員を獲得できたら、その会員を維持するために何をすればよいのでしょうか。多くのクラブは入会するまでにフォーカスし、それ以降は会員を放っておきがちです。それでは、新規ジム会員の50%が6カ月以内に辞めてしまっても不思議はありません。
新会員の受け入れ方は、その会員の長期的な成功とクラブの成功にとって非常に重要です。フィットネス初心者の81%がグループ・ワークアウトに興味を示していますが、その内の3分の2(66%)は現状ひとりでの運動を好んでいると答えており、初心者が安心して運動するには、克服しなければならない壁があることが示唆されています。
新会員に自信がつくような体験を作れば、エクササイズの習慣化という重要な要素を後押しすることになります。新会員を育てるためにスタッフが準備し、来館時と退館次の様子をチェックさせるようにしましょう。また、新会員が友人と一緒にトレーニングに通っていない場合、クラス内で新しい友人を見つけるサポートをしても良いでしょう。
「友達が多いからという理由でジムを辞める人はいません」と、グループフィットネスがジム全体の来館者の50%を占めている、Les Millsニュージーランドの12施設を担当するフィットネス部門責任者、イシ・チェインは言います。「新会員に対し、一週間無料で友人を連れて来れるようにしたり、グループでの参加を促したり、すでにあるグループエクササイズスタジオのコミュニティに紹介したりと、クラブ内でその会員が友情を育めるようにできる限りのことをしています。」
「この方法はクラブでの体験をより楽しくし、リピートしてもらえる可能性を高めるだけでなく、クラブでの接点を複数作ることで、参加しなければもったいないと感じてもらうことができるのです。」
4. イベントで活性化する
活気あるクラブをアピールするのに最適な方法のひとつがイベントです。ライブクラスの迫力こそ、最もパワフルでモチベーションの高まるワークアウト体験のひとつなのです。グローバル・フィットネス・レポートによると、ジム会員の3分の2(67%)がグループでのワークアウトを好んでいることからも、フィットネスが提供できる一番の頂点は今もやはりライブクラスです。イベントは、参加者が素の自分になることができ、人脈を築き、自身を超えるインスピレーションを得られる場です。施設を最大限にアピールできるこのようなイベントは、クラブビジネスを成功させるための重要な柱であり続けています。
施設でイベント開催するのに、多くの時間と費用費やす必要はありません。ニュージャージーにあるJFITのフィットネスディレクター、ジェス・キチュラ氏は、話題を換気することはLes Millsの新リリースに対する会員の期待感を高めるのと同じくらい簡単だと指摘しています。
目を引く高品質なプロモーション素材も、イベントに注目してもらうための重要なポイントです。すでにLes Millsのパートナーであれば、MARKETING STUDIOの豊富なツールをご活用いただけます。
5. メンバー間のつながりを促進する
クラブは、エネルギッシュなイベントを開催するだけでなく、消費者が失ってしまったコミュニティや人との交流といったより基本的な日常的ニーズにも理想的な形で応えることができます。力強い回復を遂げたクラブでは、社会的な体験に力を入れることが会員を呼び戻す鍵になっています。
グローバル・フィットネス・レポートによると、ジム内でのアクティビティの中で、グループ・エクササイズ・クラスは筋力トレーニングや有酸素トレーニングを上回り、現在最も人気があります。そのため、成長しているクラブは1月の商戦期にグループ・エクササイズで回復を図り、会員獲得と継続利用の両方を達成してリピーターを獲得しているのです。
全米最大級のゴールドジム2施設のオーナー兼マネージングパートナーであるドン・マーフィー氏は、会員とのつながりを深めるのにグループフィットネスほど有効なものはないと考えています。「グループフィットネスで、会員がまた来たいと思うような環境作りができます。グループでのワークアウトは、スタッフとだけでなく、会員同士の絆も築き、他に類を見ないコミュニティ感とエネルギーを生み出す」と彼は言います。
6. スター達をより輝かせる
ハイシーズンは、人気のあるインストラクターの活用方法を考える重要な時期でもあります。彼らは、ジム利用者がライブクラスを選ぶ際に最も重要な要素であるとされています。社会とのつながりを求める消費者の強い要望に応えるためには、クラブで働くスタッフがそれぞれ役割を果たすことが必要不可欠です。
過去10年間に渡るブティックスタジオの台頭をみてもわかるように、クラブに新しい会員を呼び込むには、優れたインストラクターの存在が非常に重要です。会話作りや、会員に宣伝をしてもらう(友人をたくさん紹介してもらう)ことは、彼らだからこそ持つインストラクター特有の能力です。2021年グローバルフィットネスレポートによると、質の高いインストラクターは、(質の低いインストラクターに比べて)2.5倍(144%)も会員紹介を獲得する可能性が高いそうです。
優秀な人材の確保は、見込み客があなたのクラブを選択するために特に重要です。見込み客の30%が「雰囲気の良さ」をジムを選ぶ際の重要な要素であると回答し、59%がスタッフも重要な要素であると回答しています。
7. 会員のニーズに応える
現在、会員があらゆる場所でフィットネス・ソリューションを見つけられるオムニフィットネスの時代に入っています。会員の80%がパンデミック後もデジタルワークアウトの継続を予定しており、Appleのようなハイテク大手はデジタルフィットネスに大きく賭けています。しかしクラブはライブとデジタルワークアウトの融合という消費者の要求に応える、ユニークな存在でありつづけています。
クラブはまず、高品質なデジタル製品を提供することで新しいファンを獲得してブランド親和性を構築し、最終的にそのファンをライブ会員に導くこともできるのです。
地域社会に広く情報を発信するため、デジタルプラットフォームに注力しているGreater Philadelphia YMCAのクリエイティブ・サービス・ディレクター、ヘンリー・バスケス氏は、「会員向けに高品質のデジタルサービスを提供しない手はありません」と話します。
「今、クラブ業界で起きていることは、過去10年間にテレビ業界で起きた強力なデジタルプレーヤーの台頭を彷彿とさせます。」