まず、あなたの経歴について教えてください。
メル・テンペスト(以下MT):約21年前に最初のクラブをオープンしたのですが、フィットネス業界に足を踏み入れたのはまったくの偶然でした。サーキットインストラクターとして1年半の経験があった私は、以前からBODYJAMのトレーニングを受けたいと思っていました。ですが、当時のクラブマネージャーに「私がマネージャーでいる間は、キミがBODYJAMのクラスを担当することはない」と断言されてしまったのです。その日家に帰った私は、夫に「自分のジムを開きたい」と訴えました。何の知識もないまま、結局450m²くらいある教会のホールにジムをオープンさせてしまったのです。そのうちエアロビクスルームとして確保した100m²ほどのスペースで、いくつものLes Millsのクラスを開催し人気を博すことができました。それから4年ほどして、1,600m²ある今のビルへ引っ越したのです。そして5年前、私のクラブはGenesisクラブチェーンの加盟店になりました。
あなたのクラブ、Genesis Ballaratについて教えてください。
MT:私たちのクラブはとても包摂的です。以前私は、ステージ上での露出が多ければ多いほど人気が出るような環境にいました。ところが、自分のクラブをオープンしてからは考え方が変わったのです。クラスの参加者は、誰が何を着ていても気にしない、周囲から威圧感なくワークアウトができる場所を求めていることに気づきました。私たちは、そんなカルチャーを大事にするコミュニティ作りに尽力しました。もちろん、私たちはLGBTQIA+コミュニティをサポートしています。Genesis Ballaratは、年齢や体型、性的指向に関係なく、すべての人が気持ちよくワークアウトできるクラブです。誰もが健康的な日々を送る権利を持っています。そのために訪れる最初の場所として私たちのクラブが存在します。いずれ別の施設へと移ってしまう人もいますが、それも仕方のないことです。でも、最終的に私たちのクラブに戻ってくる人も珍しくありません。
クラブでは、どのようなグループフィットネスクラスを提供しているのですか?
MT:毎週55クラス以上を提供しています。ライブクラスがない時間帯には、オンデマンドでバーチャルクラスを受けることもできます。通常のグループフィットネスだけでなく、サイクルクラスも同様です。さらに、大きなファンクショナルトレーニングゾーンもあります。私たちのクラブで最も人気があるプログラムはLes Millsですが、その他様々なプログラムも提供してきました。なぜなら、常に誰かのニーズに応えらえるようにしておきたかったからです。
グループフィットネスクラスの参加率はどのくらいですか?
MT:来館者の半数くらいが参加しています。筋力トレーニングが流行る前は、グループフィットネス目当ての会員が約60%、マシンジムエリア目当ての会員が約40%だったと記憶しています。多くのクラブと同様、ウェイトのみを目的に入会してくる会員はいます。これは、クラブ全体を見た時の数字です。グループフィットネスに関して言うと、通常のスタジオの95%、サイクルスタジオの80%が女性です。ファンクショナルトレーニングゾーンの男女比は半々です。LES MILLS STRENGTH DEVELOPMENTを導入してからは男性の参加率が増えました。普段BODYPUMPや他のバーベルクラスには来ないのに、なぜかSTRENGTH DEVELOPMENTのためにスタジオに集まるのです。観察すると興味深いですよ。
そういった変化の要因は何だと思いますか?
MT:グループフィットネスのスタジオに男性を呼び込むには、まず彼らの先入観を取り除かなくてはなりません。他のグループフィットネスと比べてSTRENGTH DEVELOPMENTはどう違うのか? SNSの広告でわかりやすく説明しました。音楽に合わせて行うトレーニングではないため、自分のタイミングで動けるところを説明しました。そうすることで垣根がなくなり、より多くの会員がグループフィットネスに参加するようになりました。
LES MILLS SHAPESも好評とのことですが、導入を決めた理由とその過程を教えてください。
MT:私は常に新しいプログラムへのアンテナを立てていますが、SHAPESのことを知った時、必ず興味を持つ会員がいるだろうと直感しました。まずZ世代の参加は想像に難くありませんでした。なぜなら、若い会員はレジスタンスバンドを使うワークアウトに飛びつく傾向にあったからです。だからこそ、新規会員獲得の目玉にしたかったんです。そして、あらゆる年齢層や体型の人にとって、いかにSHAPESが素晴らしいプログラムであるかをアピールするSNS広告を出しました。STRENGTH DEVELOPMENTで行ったように、どのようにプログラムがワークするのかを提示し、オフザビートのプログラムでコーディネーションが必要ないことを伝え、見込み客が安心して参加できるように促しました。コーディネーションが必要ないと伝えるたびに、新しい層への扉を開くことになりました。それが明確になったことが、この新しいプログラムを通して新規会員を獲得することにつながったのです。
SNSにおいて、どのようにインストラクターのサポートを活用しましたか?
MT:いかに会員がインストラクターの存在を重視し、インストラクターとつながっているかを知っているので、もちろんSNSでは所属インストラクターを起用しました。会員は推しインストラクターのアカウントをフォローしているので、マーケティング素材に3名の所属インストラクターの画像を使用しました。可能な限り幅広い層にアピールできるよう、3名は異なる年代から選びしました。また、Les MillsのMarketing StudioからSHAPESの販促素材をダウンロードし、施設内でパンフレットを配布したり、SNSでも投稿しました。また、導入の際にはビデオも撮影し、クラス後に会員から体験談を集めました。このプログラムがあらゆる人に適したものであることをコミュニティに伝えるために、そういったコンテンツをSNSで共有しました。
ロンチ後は、どのようにSHAPESを活用していますか?
MT:最近、私たちのウェルネスプログラムと並行して、LES MILLS SPRINT、SHAPES、STRENGTH DEVELOPMENTを取り入れた6週間のチャレンジを実施しました。6週間にわたり、会員はこれら3つのプログラムとウェルネスプログラムに参加するというものです。チャレンジの参加費99ドルで、バックパックやタオル、ボトル、そして全てのクラスへ参加できる権利などが提供されました。さらに、参加者の中から抽選で1名に2,000ドルをプレゼントするキャンペーンも展開しました。結果として、それまでSPRINT、SHAPES、STRENGTH DEVELOPMENTといったプログラムを敬遠していたすべての会員が参加したのです! 会員の不安は、まず特典をオファーすることで解消することができました。これら4クラスのインストラクター曰く、チャレンジを通してプログラムを体験した会員が、今ではクラスの常連になっているそうです。キャンペーン最大の成果はこれに尽きます。
タイムテーブルのどの辺にSHAPESを組んでいますか?
MT:ロンチ当初、早い時間帯を埋める枠として日常的に朝8時45分から9時30分の間にワークアウトしている層をターゲットに展開しました。またこのプログラムは、日曜の朝にも適していることがわかりました。火曜と金曜のナイトクラスも非常に好評でした。私たちのクラブの場合、移動時間を考慮すると午後5時30分のクラスには間に合わない人が出てしまいますが、どの会員も午後6時15分の枠には間に合うことがわかっています。このプログラムをタイムスケジュールに組み込む理由は主に2つあります。新しい会員に試してもらうためのチャレンジプログラムとして、そして気に入ってくれた会員向けの定番プログラムとしても、私たちはSHAPESを活用しています。
一方でSTRENGTH DEVELOPMENTのスケジュールを組む時は、BODYCOMBATやLES MILLS SPRINTのあとが効果的だと考えました。午後6時15分の枠に入れたのは、これらのプログラムが終了次第、会員はその足でウェイトクラスに入ることわかっていたからです。また、バーベルクラスは午後5時30分の枠に適していると知っていたので、その時間にSTRENGTH DEVELOPMENTを入れました。メンバーの動向に注意を払い、トレーニング習慣に合わせてスケジュールを組むことが大切です。
BODYCOMBATのあとにSTRENGTH DEVELOPMENTを受けるには、結構な体力が必要ですね!
MT:そうですね。でも、会員の多くはコミュニケーションを求めて来ています。もちろんワークアウトはしますが、会員の多くはその時間を楽しむために通っているのです。仕事でストレスが溜まっているかもしれませんし、家に帰るには早過ぎるからかもしれません。誰もが自分らしくいられる空間で、クラブで会う人たちと楽しく汗をかくために通うのです。
SHAPESインストラクターのライセンス取得について教えてください。
MT:リフォーマーピラティスのインストラクターに、スキルアップしてSHAPESのライセンス取得してもらうのは簡単でした。彼女は優れたインストラクターでしたし、私はSHAPESとリフォーマーピラティスに共通点があることを知っていました。彼女はLes Millsプログラムを教えたことがなかったので、最初は戸惑っているようでした。インストラクターにきちんとプログラムを理解してもらえるよう説明するのと、クラスに参加することを迷っている会員に説明するのは時に似ています。音楽に合わせて動く必要がないことと伝えると、彼女は研修を受けると言ってくれました。会員は彼女のクラスが大好きです。また彼女とは別に、長年Les Millsのインストラクターをしている2人にもライセンス取得を勧めました。それは新しいことへのチャレンジは2人にとってメリットになると考えたためで、実際に活力を与えてくれました。彼らはこの新しいプログラムを教えることが大好きですし、SHAPESがすでに提供しているLes Millsクラスにも新たな情熱を吹き込んでくれたようです。
また、STRENGTH DEVELOPMENTを教え始めたとある男性インストラクターのおかげで、それまでスタジオを敬遠していた男性会員を呼び込むことができました。年齢や性別に関係なく、彼にはファンが付いています。SPRINTでもSTRENGTH DEVELOPMENTでも、会員は彼に付いてくるのです。だからこそ、プログラムに関係なく彼のクラスはいつでもいっぱいなのです。
他のクラブ経営者にシェアできるインサイトはありますか?
MT:まず、会員の属性や習慣を把握することです。自ずと適したプログラムや時間帯がわかるはずです。最大限の効果を引き出すにはそれしかありません。その上で、Marketing Studioの素材を使ってプロモーションするのです。もちろん自社で素材を確保することもお勧めしますが、予算の削減にはLes Millsが提供してくれるハイクォリティな写真や動画を使うのが近道です。もちろん、既成概念にとらわれずチャレンジすることも必要です。
新しいことにチャレンジする際のアドバイスはありますか?
MT:プログラムにおいては、新しいものを取り入れることを恐れないでください。考えられる最悪のシナリオは?うまくいかなければタイムテーブルからプログラムを外すだけです。クラブ経営者なら誰しも、ひとつやふたつそんな経験があるでしょう。もし何かを試すことに不安を感じたら、閑散期のタイムテーブルで試してみるといいと思います。失敗を恐れずに、やりたいことができるからです。試してみたいことや新しいことをまとめていくつも実践し、必ずフィードバックを募ってください。それが通常のタイムテーブルで何をすべきかを決定するための材料になります。人は他と違うことをしているあなたのクラブに興味を抱くでしょう。季節ごとにタイムテーブルを変えることも恐れないでください。小さな変化が大きな違いを生み出します。秋に実施したプログラムがうまくいかなくても気にすることはありません。もう冬が来ます。そのプログラムをやめて違うものを入れてみましょう。