クラブについて
アンディ・ハウゲン（以下AH）：35年前、私のビジネスパートナーであるデイブ・ゲリーは、人々の生活を向上させるというビジョンで、Princeton Clubの1店舗目をオープンしました。 ウィスコンシン州（米国）にある1つのスポーツクラブから始まり、現在ではウィスコンシン州とイリノイ州に6つの最新鋭施設と5つのエクスプレス・ジムを持つまでに成長しました。私たちの成長と発展は、会員へのコミットメントによるものだと考えています。人によって生活スタイルは様々。ですから私たちの施設は年中無休です。 私のビジネス戦略を説明するとすれば、シンプルに「より良い明日を創りたい」の一言に尽きます。
会員のフィットネス・ジャーニーはどのように形成しているのですか？
AH: 主に2種類あります。ひとつは、会員と私たちの間に接点を持つことで、これはマシーンではできないことです。もうひとつは、リピーターになってもらえるような環境づくりです。正しいメッセージを届け、モチベーションを与え、会員が自分のジャーニーの方向性を理解できるようにしています。新しい会員にとって、クラブが彼らを理解できる存在であることは、とても重要なことです。新しい会員は館内ツアーの後、きっと聞いたことの9割を忘れてしまうでしょう。ですが、もしきちんと会話をし、その会員にとってのフィットネス・ジャーニーを一緒に描くことができれば、会員は必ず惹きつけられるのです。
会員に道筋を示すことが大きな役割を果たしているのですね。
AH: その通りです。フィットネスでは適当が成立しません。私はいつもチームに、「新しい会員が入会することには必ず理由がある」と繰り返し伝えています。少なくとも週に1日か2日は、彼らに来館日を設定してあげましょうと。それ以上は一緒に設定する必要はありません。相手に適当に任せにしてしまうと、来館頻度も適当になってしまいます。
私たちは、会員が何度も足を運ぶようなチャレンジ企画を作り、その進捗をチェックしています。例えば、「○日間ワークアウトしたら、翌月無料パーソナルトレーニング3回プレゼント」や「ひと月に10回以上クラブに来た会員には、更に無料パーソナルトレーニングを追加でプレゼント」といったキャンペーンを実施しました。私たちは楽しいことが大好きです。グループクラスチャレンジでは、会員に様々なクラスを受けてもらい、特典を提供する企画も行いました。 このような取り組みにより、参加率が上がりました。
他にはどのような方法で会員とつながりを作っていますか？
AH: イベントを活用してつながりを深めることはとても有効的です。私たちは新規会員のために定期的にパーティーを開催しています。入会してしばらくすると、クラブに招待して飲食を無料で提供し、チームや他の会員と交流してもらいます。会員に感謝の気持ちを伝えることは非常に大切です。最初の2ヶ月で好印象を残す必要があるので、イベントを開催し、「私たちはあなたのことを本当に大切に思っています。」という気持ちを伝えて付加価値を与えます。パーティーに参加しないメンバーもいるでしょうが、それはそれで構いません。入会したばかりの人を大切にする別の方法が他にもあるはずです。
クラブ外ではどのように会員をサポートしていますか？
AH: 私たちにとって重要なのは、人々が健康を維持するためにできることをあらゆる方法で提供することです。会員には長く通ってもらいたいですし、ワークアウトの方法は時間とともに変化していくと考えています。入会したばかりの会員が行うワークアウトプログラムが2年後には全く違うものになっている可能性だってあります。フィットネスを提供する側として、私たちは会員が健康になるようサポートしますが、それは特定の方法だけでワークアウトすることを推奨することではありません。たとえそれがクラブの外であっても、支援できることがあれば何でもするつもりです。クラブではインストラクターが指導する素晴らしいライブクラスやバーチャルクラスを、そして自宅ではオンデマンドクラスのオプションを用意し、あらゆる角度のサービスを提供しています。
オムニフィットネス戦略を導入したことで、どのような付加価値が生まれましたか？
AH: まずは、どうすれば会員が結果を出せたと感じることができるか？と自問することから始まりました。会員が自宅でワークアウトにアクセスできるようになったら、もうスタジオには戻ってこないのではと、初めは躊躇しました。でも、グループフィットネスのライブレッスンは何ものにも代え難い価値があります。スタジオには、素晴らしいインストラクターがいて、音楽が流れている。それは誰もがきっと、そこにいたいと思うような空間です。そこで得られる人との「つながり」は、これまで以上に必要なものなのです。
しかし、現実には毎週同じワークアウトをするとも限りません。出張や旅行、不規則な生活パターンなどを、私たちはあらゆる方法でサポートしなければなりません。Les Millsには、いつでもどこでもワークアウトを楽しめるサービスがあり、会員が求めている柔軟性を提供することができました。ですので、会員がクラブとLes Millsを合わせて想起し、更にLes Millsワークアウトの結果と関連付かせることができれば、それは会員維持のための強力なツールとなるのです。
フィットネスが適当なものにならないように、運動するための機会が多ければ多いほど人は結果を出すようになります。そこに到達するための手助けをすることで、人々の忠誠心を得ることができるのです。ハイブリッドなサービスは、私たちが望んでいる持続可能性と長寿のために必要なアプローチだと考えます。クラブとしては、6ヶ月間などの短期間ではなく、今後20年間、フィットネスゴールを応援するパートナーとして会員をサポートしたいのです。
ブランドの目的をマーケティングを通じてどのように伝えていますか？
AH: クラブ運営者は、人々に何を伝えたいかを吟味する必要があると思います。フィットネス& ヘルスの業界ではここ数年厳しい状況が続いていますが、本質に立ち返ることで、成長を見込めると私は考えます。私たちの場合は、地域社会に語りかけるような「感動」を軸にキャンペーンを行うことでした。私たちは、次の5つのポジティブな言葉（Persevere「屈せずやり切る」、Believe「信じる」、I Can「私はできる」、Rebuild「再構築」、Conquer「制覇」）で、近隣の地域に広く露出しました。このキャンペーンは大きな反響を呼びました。会員であるかどうかは関係なく、人々はキャンペーンに共感し、地域により一体感が生まれました。地域とつながり、人を信じることに焦点を置けば、クラブでも、アプリでも、外でも、ビデオ・オン・デマンド（VOD）でも、どこでもフィットネスとつながることができるのです。
バーチャルスタジオ体験は何を提供できるのでしょうか？
AH:クラブ内で提供できる体験を更に強力なものにすることに他なりません。まず最初に、適切なコンテンツプロバイダーを見つけることです。バーチャルを提供するスタジオ空間は、優れたものでなければなりません。クラブでバーチャルクラスを提供することに踏み切ったとき、ライブクラスの出席率は変わるどころか、むしろより多くの人に来てもらえるようになりました。ですから、バーチャルクラスを検討するのであれば、適切なパートナーを見つけてください。私たちの場合、それはLes Millsでした。今後はクラブ内外問わず、会員にとって柔軟性のあるクラスを提供できる施設が勝ち残っていくと思います。
スタジオの全体的な外観についてはどうでしょうか？
AH: クラブ経営者の方は、ぜひ一度、自分の施設を自分の足で歩き回り、写真を撮ってみてください。施設はあなたが知っている最高の状態に保てているでしょうか？最近訪れたレストランを思い浮かべてください。料理が美味しいのはもちろん大切ですが、環境がよければ、その料理はよりおいしく感じられるはずです。また、素晴らしいインストラクターを集めることは、スタジオのデザインと密接に関係していると私は考えています。美しくデザインされた空間と機材があれば、インストラクターの維持にもつながります。スタジオをアップグレードするためにできる簡単なことはたくさんあります。ロゴをリニューアルする、天井を黒く塗る。会員やインストラクターに感じてほしい感覚を自分のスタジオが喚起できているかどうか、今一度自分に問いかけてみてください。会員やインストラクターにインスピレーションを与えるようなスタジオになっているか、そのスタジオに戻って世界レベルのエクササイズを体験し続けたいと思えるようなスタジオになっているか。是非、これを機会に見直してみてください。
