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    消費者動向

    フィットテックが、クラブの未来に与える影響

    ハーバードビジネススクール出身で、シリコンバレーの企業家でもある、レズミルズ・メディアCEOのジャン=ミシェル・フルニエは、自身のフィットネスへの情熱とリーンスタートアップ(事業立ち上げの際に最低限のニーズに応える製品やサービスを提供し、徐々に改良を行う手法)を組み合わせ、革新的技術を広めています。この記事では、最新のフィットネストレンドや、失敗が成功の元となる理由、そしてフィットテックの未来においても人的交流が必要不可欠であり続けるなどについて、解説します。

    レズミルズ

    あなたの役割について教えてください。

    世界一の仕事をしていると思っています!レズミルズ・メディア(レズミルズ・インターナショナルの一部門)のCEOとして、世界の消費者向け事業、B2B全般やD2C(direct-to-consumer)のデジタル製品展開、また世界展開する上での音楽の管理などを指揮しています。

    今フォーカスを置いているのは動画配信プラットフォームであるLES MILLS™ On Demand (LMOD)です。レズミルズの人気プログラムの中から800以上の優れたワークアウトを消費者がどんなデバイスからでもストリーミングできるものです。LMODは近年著しい成長を遂げており、この分野がフィットネスの将来に甚大な影響を与えると考えています。

    なぜそれがフィットネスに大きな影響を与えることになると思うのですか?

    「いつでもどこでも」世代と言われるミレニアル世代とZ世代は、フィットネスユーザーの二大勢力であり、現在フィットネス市場の80%を占めています(2019年レズミルズ グローバル コンシューマー フィットネス サーベイより)。「デジタルネイティブ」であるこの世代は、テクノロジーが当たり前にある生活環境で育ってきたため、フィットネスに対するニーズも進化しています。加えて、自宅フィットネスというトレンドも成長を続けており、クラブ会員の85%が自宅でもエクササイズを行っているということが分かっているため、ニーズに合ったフィットネスソリューションを提供するために業界として進化していかねばなりません。

    クラブ会員の85%は自宅でもワークアウトしています。

    どのようにして形になっていくと思いますか?

    デジタル化の波とテクノロジーがあらゆる業界、特にフィットネス業界に影響を及ぼす中、我々はフィジカルとデジタルを融合させる360度フィットネスソリューションをクラブやクラブ会員に提供したいと考えています。フィットネス施設のみならず、いつでもどこでも会員がエクササイズをできるようにするのです。

    様々な方法でワークアウトできるようになった今、ライブクラスの未来はどうなっていくのでしょうか ?

    人間は社会的動物なので、「ライブ」(対面)体験はいつになっても一番なのです。ライブクラスは会員維持率や紹介率を高めることができますが、クラブ体験を拡張するテクノロジーを組み合わせることでさらに体験を強化することができます。

    フィットネスの未来にも、拡張現実やホログラフィック・テレプレゼンス(ある場所で録画した立体画像を世界中どこでも、別の場所でリアルタイムに映し出すこと)などの技術進歩を利用するようになるでしょう。Microsoftが最近行ったHoloLens 2(3Dグラフィックなどで作られた映像や画像(ホログラム)を、現実世界に重ね合わせて表示することで、目の前に実物があるかのように見たり、動かしたりできる技術を実現するヘッドマウンドディスプレイ)のデモンストレーションでは、世界中のあらゆる言語を同時通訳する等身大ホログラムを紹介しました。近い将来、このような装置を着用することで場所や言語を問わず、お気に入りのインストラクターのレッスンをオンデマンドで体験する日が来るでしょう。

    これが2030年にどうなっているのかはまだ分かりませんが、技術進化とともに、インストラクターが多くのチャンスと、そして課題に直面していくのは確かです。バーチャルやオンデマンドサービスの高まる勢力に対応するため、インストラクターはスキルアップを図るようになり、クオリティが高くなっています。私はイノベーションの力を固く信じています。「上げ潮はすべての船を持ち上げる」のです。

    今後数年でライブクラスはどのように進化していくでしょうか?

    近い将来、最高のライブクラスは、素晴らしくエネルギッシュなインストラクター、肌で感じる音楽、そして没入感のある映像技術の融合となるでしょう。これからのさらなる技術進化により、音楽も映像もより「体感」できるものになり、それがライブクラスに取り入れられることで、参加者の体験をより良いものにしていくことでしょう。

    デジタルとフィジカルのギャップを埋め、統合されたフィットネス体験を提供できる者が勝者になります。直近では、グループサイクリングクラスのTHE TRIPが牽引してきたイマーシブ体験が、高画質映像によりバーチャルでもライブでも体験できるようになるでしょう。満員のスタジアムで歓声をあげる人々を背景にしたダンスワークアウトや、春のアルプスの山々を映し出すスクリーンに囲まれて行うヨガクラスを想像してみてください。こういったことが現実になる日は近いでしょう!

    解像度の高い映像を大きなスクリーンに映し出して行うワークアウトは、「体験」の提供の第一歩です。

    フィットテックの人工知能の役割をどう捉えていますか?

    AIはフィットネスやウェルネスに間違いなく変革をもたらすでしょう。特にウェアラブルとの組み合わせることで、いつ何を食べるか、何時間寝るべきか、そしていつワークアウトするかなどをデータから編み出すことができるようになります。また、スポーツクラブがどのようにして会員との関わり合うのかにも変化をもたらす可能性もあります。Netflixがユーザーの好むテレビ番組を学習して提案を行うのと同じように、消費者は体験的なワークアウトやパーソナライゼーション、そしてスマートな提案によってライフスタイルがサポートされることをますます求めているため、AIは会員のあらゆるウェルネスニーズをサポートする上で非常に大きな役割を担うようになるでしょう。

    フィットネスにおけるテクノロジーで、もっとも楽しみにしているものはなんですか?

    この業界の勢いは、真の変化を生み出そうとしているということの表れです。レズミルズの使命はより健康な世界を創造することで、今回お話ししたテクノロジーはフィットネスをより多く方に受け入れられるものにするでしょう。移動手段や普段の食事、そして健康管理のためにかけるお金などにより人々の意識が変わることで、より健康的な世界を創ることができます。新しいテクノロジーと様々な機会がある今、何十億という人々の健康を変えることができるのです。その変革の中でテクノロジーが核となります。何においても重要なのはデータです!

    フィットテックの分野で革新する企業にとって最大の課題とは?

    物事が絶えず変化する今日の複雑なビジネス環境では、実行する完成度よりも、実行する速さの方が遥かに重要です。ソリューションや製品を完璧に仕上げようとしているうちに状況が変わってしまい、いつの間にか製品やソリューションが見当違いなものになってしまうかもしれません。「十分」な状態で提供し、フィードバックに応じて改善するという繰り返し。このアプローチを使えば、反復学習による雪だるま効果により、遥かに早いソリューションが実現できます。

    「試して学ぶアプローチ」をとる必要があるということは、常に挑戦していかなければならないということです。失敗を受け入れなければなりませんが、失敗には早く気付き、次に繋げることが重要です。そういう意味でも、リーンスタートアップ手法は私のキャリアで非常に役立つものでした。

    アイディアの実現にする最善の方法は?

    行動あるのみ。他に方法はありません。我々のチームは、ブレストするか、誰かのひらめきを元に直ちに行動に移します。行動を起こさないより、不完全な行動がいいと思っています。また、行動していく中で徐々にアイディアが変わっていくのも興味深いものです。当初の考えから変わらない時もあれば、変化しすぎて当初の案を思い出せない時もあります。重要なのは、柔軟性を持って、アイディアの可能性を信じ、うまくいくよう必要な支援を提供することでしょう。

    フィットテック分野で働く若い企業家にアドバイスするとしたら?

    情熱を持っていることをしてください。自分が信じることをしてください。私は「自分のため」を考えることはありません。すべては自分の「人生の目的」のためです。世界中の人々がこうあるべきだという考えに沿うのではなく、自身の考えに沿って行動してほしいと思います。立ち直る力を持つことは大変重要なことなのですが、現代の人々にはこれがなかなか見られません。私自身の人生を振り返ると、誰より賢いと思うようなことは一切してきませんでしたが、立ち直る力や情熱はズバ抜けていると自負しており、このことが大きな意味を持ったと思います。

    もうひとつ、常に心がけてきたのは「自分よりも優れた人材を雇う」ということです。新規事業が急速に増える中、同僚や従業員に大いに自主性を与える必要があります。これが自身にも影響し、改善にもつながります。もしあなたが周囲を信頼できていないのなら、戦略的成長の可能性は著しく下がることでしょう。