ワークアウトには朝が適している?
午前中の運動には多くの利点がありますが、一日の後半に運動することで得られるメリットも多くあり、一方の時間が他方より優れていることを示す信頼できる科学的根拠はありません。オーストラリアの研究者は、運動不足の人の中には、午後に運動を取り入れた方が、午前中に運動した人よりも健康上のメリットが大きいことを発見しました。しかし、継続のためには自分のスケジュールに最も適した時にワークアウトを行うことをお勧めします。Les Millsの研究責任者であるブライス・ヘイスティングス氏は次のように述べています。「時間帯によってカロリーの消費量が異なる可能性はありますが、定期的に運動することのメリットに比べれば、その差はごくわずかでしょう。運動からどれだけ恩恵を受けるかは、一貫した身体活動の量と密接に関係しているのです。」
HIIT(高強度インターバルトレーニング)は若い世代のためのもの?
HIITは、ハードで速く、パワフルなトレーニングで、若者や体力に自信のある人によく好まれるワークアウトスタイルです。だからといって、あらゆる年齢や体力レベルの人達が恩恵を受けられないというわけではありません。高齢者がさまざまな種類の運動をすることにおいての大規模かつ長期的な研究によると、週に2回のHIITトレーニングを5年間続けた人が、生活の質とフィットネスレベルに劇的な影響をあったと言っています。また、HIITには高齢者のエクササイズを若返らせる効果も。アスリートと、デスクワークの多い男性の両方を対象とした包括的な研究により、60代後半の男性が20分間のHIITサイクルトレーニングを継続するだけで、生物学的年齢を20歳下げることが明らかになりました。
ですが、プロのスポーツ・フィットネス研究者であるジンジャー・ゴットシャル博士は、年齢に関係なく、運動初心者がHIITに真っ先に飛びつくのは、危険な考えであると警告しています。彼女は、まず体を運動に慣らすために、筋力トレーニング、有酸素運動、体幹・柔軟性トレーニングを含む中強度の運動を毎週6~12週間継続することから始めることを勧めています。
一日の中で最も重要な食事は朝食?
「1日のうちで最も重要な食事」と謳われているにもかかわらず、ファスティングの普及に伴い、今では多くの人が朝食を抜くことを選択しています。最もスマートな方法を示す証拠はほとんどありませんが、研究者は、朝食を食べる人は全体的に消費カロリーが多く、体重が増える可能性が高いことを発見しました(ただし、この研究者も、この結果は慎重に検討する必要があるとしています)。朝食を食べるか食べないかは、個人の好みの問題です。しかし、朝食を食べることに賛成する最も良い論拠の1つは、栄養価の高い食べ物で体に燃料を供給する良い機会であるということです。朝食は、パンやシリアルなどの全粒穀物、果物や野菜などの食物繊維を摂ることができる食事です。また、卵や牛乳、ヨーグルトなどのタンパク質も摂ることができます。朝食を食べないと、1日に必要な栄養を摂取するための食事が1回減ることになります。
ウェイトリフティングをすることで女性は身体が大きくなる?
「女性はしばしば、筋力トレーニングをすると体が大きく見えるという誤った認識を持っています。」と、Les Millsのプレゼンターのエリン・モウは言います。「栄養、サプリメント、具体的で戦略的なトレーニングなど、さまざまな要素が組み合わさって、筋肉が極端に増えたり、見違えるほどたくましくなったりするのです。トレーニングはあなたを強くし、パワフルにしてくれますが、筋力ワークアウトだけでは、身体は大きくなりません。」研究によると、高反復の筋力トレーニングは乳酸反応を発生させ、その後の成長ホルモンの増加、そして長期的なカロリー消費効果をもたらし、体が大きくならずに筋力をつけることができることを示しています。
ローフードダイエットは健康に良い?
生や無加工の食材を摂ることは、健康への恩恵がたくさん得られます。しかし、ローフードだけに頼っていると、タンパク質、鉄分、オメガ3系などの必要な栄養素が不足する可能性があります。また、小麦や乳製品、砂糖を使っていないローフードだからといって、健康食品とは言い切れません。ロースイーツは、ナッツ、ハチミツ、ドライフルーツ、ココナッツなどを使っているためエネルギー密度が高い場合もあり、過敏性腸症候群を患っている人にとっては、お腹をゆるくする可能性もあります。
健康のために毎日一万歩、歩く必要がある?
今日まで、1万歩が本当に歩数のノルマなのか、はたまた青天井なマーケティングの戦略であるかを示す証拠はほとんどありません。この数字が設定された理由は、70年以上前に日本で初めて発売された歩数計「万歩計」のマーケティングキャンペーンに遡ります。数字の設定は、研究結果や健康上の推奨事項に基づいていたわけではなく、むしろ響きが良かったからです。研究者たちは、より多く動くことがより大きな健康効果をもたらすことを発見しましたが、最適な健康効果を得るには、1日7,000歩が推奨されており、1万歩を下回ることが分かりました。この歩数を毎日歩くことで、参加者の早死の可能性が50~70%減少し、健康効果が持続的に安定したことがわかりました。大事なのは、健康増進のために自身の歩みを止めないことなのです。
体調が悪い時は休養すべき?
オーストラリアの科学者ロブ・ニュートン教授は、慢性疾患患者に対する運動処方を何年もかけて検証し、彼らにはベッドで休むより運動することが有効であるとしています。彼は、ほぼ連日、可能であれば毎日体を動かすことを勧めています。たとえ体調がとても悪くても、安静の体制でい続ければ余計悪くなるばかりです。必ずできる運動があるはずです。彼は「座りっぱなしで免疫力が低下していると、風邪やインフルエンザにかかりやすくなり、これらの病気からより深刻な影響を受ける可能性が高くなります。」と述べています。
運動は、脂肪を筋肉に変える?
脂肪を燃焼させるとどうなるかは、運動をしている人の大多数にとって不明な点であり、調査を行った健康やフィットネスの専門家の98%もその答えがわからないと答えています。多くの人は、脂肪細胞は筋肉細胞に変化する、または脂肪細胞は大腸を通って体外に排出されると考えています。また、脂肪はエネルギーに変換され、熱として失われるという誤解もあります(おそらく、「エネルギーが入るとエネルギーが出る」という仮定に基づいているのでしょう)。実は、脂肪は二酸化炭素と水に変換され、そのほとんどは呼吸によって排出されます。
1日1杯のワインは健康に良い?
これまで、フランス人が米国人に比べて心臓病の発症率が低いのは、赤ワインの摂取量が多いからだと考えられてきました(研究者は、適量のアルコールが善玉コレステロール(HDL-cholesterol)レベルを改善すると仮定しています)。しかし、フランス人は一般的に、より細く、より健康的で、より活動的であることが、有力な理由であると言えます。このことから、アルコールが健康を増進させるとは言い切れませんが、もし素晴らしく健康的なライフスタイルを保っているならば、ワインを多少飲んでも大きな影響はないでしょう。とはいえ、アルコールは神経を抑制する作用があり、毒素もあるので、禁酒を選択することが最も賢い選択となる場合もあります。
ストレスや疲労は休むことで改善される?
一般的に信じられていることとは異なりますが、ソファでくつろぐことは、ストレスや疲労の兆候に対処するための最良の方法ではありません。最近の研究で、より良い治療法として注目されているのが運動です。科学者たちは、精神的に疲れている人が体を動かすと、認知の柔軟性、気分、疲労感、自己認識認知能力、モチベーションが著しく回復することを発見しました。しかも、それに要したのは30分のサイクリングセッション1回だけです。また、有酸素運動が気分を高めるのに最適な方法であることはすでに研究で立証されています。