筋力トレーニングは、筋力アップ、筋肉強化、骨の健康、健康で強い身体作りに効果的です。しかしそれだけではありません。筋力トレーニングには他にも意外な、そして非常に重要な価値があることが分かってきています。
筋力トレーニングで睡眠を改善
最近の研究では、ワークアウトに筋力トレーニングを含めることで、有酸素運動だけのワークアウトよりも一晩に17分睡眠時間が伸びることを研究者たちは突き止めました。
1週間を通して考えると、3時間の筋力トレーニングによって4.5時間以上睡眠時間が伸びることになります。つまり、筋力トレーニングに費やす時間が睡眠時間になって返ってくるのです。
筋力トレーニングに参加した被験者は、毎晩横になってから眠るまでの時間を平均20分短縮することができました。また、運動をしない人、有酸素運動をする人、筋力トレーニングと有酸素運動を併用する人に比べて、平均して3分早く眠りにつくことができたと報告されています。
この結果は、不眠症の人や睡眠不足に悩んでいる人が一日の中で有酸素運動を増やした方が良いという一般的な推奨とは一線を画しています。「有酸素運動も筋力トレーニングも健康にとっては重要ですが、今回の結果は、夜間の睡眠を改善するには筋力トレーニングの方が優れている可能性を示唆しています」と、アイオワ州立大学の主任研究員アンジェリーク・ブレレンタイン氏はコメントしています。
筋力トレーニングを行った被験者グループは、毎晩横になったまま起きている時間を20分短縮しました。
たった一晩の寝不足でも危険になる
新たな研究により、たった一晩の寝不足(6時間未満)でも、精神的・身体的な健康に大きな影響を及ぼすことが明らかになりました。6日連続で睡眠不足が続くと、体の痛み、胃腸障害、呼吸器障害など、精神的にも肉体的にも深刻な問題が発生する可能性があります。
筋力トレーニングで早死のリスクを減らす方法
筋力トレーニングをすれば、睡眠時間が延びるだけでなく長生きにもつながります。
筋力トレーニングが死亡リスク低減に役立つことは以前から知られていましたが、実際にどの程度の筋力トレーニングが必要かはわかっていませんでした。しかし、過去30年間に実施された16の個別研究の分析によってその答えが明らかになりました。
毎週30~60分程度の筋力トレーニングを行うだけで、死亡リスクを最大5分の1減らすことができます。筋力トレーニングだけで、心臓病とがんによるものを含むすべての死亡リスクを10%~20%低減できると言われています。しかし、寿命を延ばす効果が最大になるのは筋力トレーニングと有酸素運動を組み合わせた時です。この組み合わせは、あらゆる原因による死亡(40%)、心臓病(46%)、がん(28%)と、リスクをさらに大きく低下させます。
興味深いことに、筋力トレーニングを極端に増やしても報われるとは限りません。研究によると、週に60分以上筋力トレーニングを行っても、寿命を延ばす効果が高まるわけではないそうです。
Les Millsの研究責任者ブライス・ヘイスティングは、現代生活につきまとう多くのストレス要因や不眠症の蔓延を考えると、今回の発見は良いタイミングだったとして「バランスの取れた運動がもたらす恩恵の大きさを浮き彫りにしている」と話しています。彼は毎週の理想的な運動計画として、主要筋肉群を鍛えるための2回の筋力トレーニング、3、4回の有酸素運動、1回の柔軟性と可動性を鍛えるセッションを推奨しています。
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