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    調査/研究

    スリーW:現代の会員を喜ばせる新たな戦略に?

    最新の研究に、イノベーションやメンタルヘルスのサポートがワークアウトの場所を選ぶときの主な要因となりつつあるという、新世代のフィットネス消費者に焦点を当てたものがあります。進化し続けるこの分野で成功を収めるには何が必要なのか、研究成果から鍵となるポイントを探りましょう。

    ジョー・ブライス

    フィットネス業界はパンデミックから急ピッチで抜け出そうとしていますが、これまでの2年間の影響が色濃く残る中で、エクササイザーたちはこれから先の状況や次に来るものに目を向けています。

    そして次に来るものとは何かという疑問については、ウェルネス・ソフトウェア大手のMindBody社が、新しく発表した2022年フィットネスレポートの中ではっきりと答えを出しています。そのレポートでは、16,000人のアメリカ人から得た回答を元に、経営者はWellness(ウェルネス)、Workouts(ワークアウト)、fitness Wherever they want it(どこでもできるフィットネス)の「スリーW」に注力すべきだと結論付けています。

    同レポートでは今年最大のフィットネストレンドについても検証し、次に来るトレンドが何か、なぜそれが重要であるか、クラブの事業戦略に取り入れる方法などについて探っています。その中から鍵となるポイントを4つご紹介します。

    1. すべては気から

    同レポートによると、78%の消費者がウェルネスはこれまで以上に重要だと考えており、これまで消費カロリーと同じような意味で使われてきたウェルネスという概念は、より賢明な考え方に置き換わろうとしていることが分かりました。消費者は現在ウェルネスの定義を、精神的・身体的・霊的なものを一体化させるホリスティックな軸を持ち、コミュニティや帰属意識の発見を含むものであると定義しています。

    多くのエクササイザーの記憶に新しい最近の出来事から、同レポートでは、人々がワークアウトを行う動機となるものに関する優先順位の変化が確認されました。コロナ前のレポートでは、ワークアウトを行う動機のトップは体重管理でしたが、45%の消費者が「日常的に」ストレスを感じていることから、現在ではストレスの軽減がワークアウトする理由のトップになっています。

    一緒にエクササイズすることで、現代の会員が求めるコミュニティ感覚やストレス解消につながる、強力な絆が生まれます。また、ワークアウトが終わった後も、睡眠の質を高め、気分の落ち込みを抑えるなど、その効果が長く続くことが研究で示されています。Les Millsの研究責任者であるブライス・ヘイスティングスは以下のように述べ、現代の生活へのアンチテーゼを提供することで、会員が抱えている緊張を考慮したクラブエクスペリエンスを作り出す必要があると指摘しています。「クラブ会員がエクササイズだけでなく、生活からの回復を必要としていること、またそのためにフィットネス施設は幅広い役割を担っているということを、我々は理解しておく必要があります。」

    2. 組み合わせる

    では会員のストレス対処においてクラブがより大きな役割を果たすためにもっとも良い方法とは何でしょうか。アンケートでは、瞑想やアートセラピーなど、心を豊かにする体験をクラブ内でもっとしてみたいという声が聞かれました。これらの追加プログラムを試すかどうかは別として、経営者にとって重要なのは、会員にさまざまな選択肢を提供するということです。MindBody社のレポートによると、3分の2の人が、モチベーションや関心を維持できるように、クラブ内でも自宅でも幅広いワークアウトを提供してくれる施設を希望しています。

    グループフィットネスのレジェンド、エマ・バリーは、フィットネスにおいて幅広い選択肢を展開する方法について、こう説明しています。「フィットネスも食事のように、生活の一部だと考えましょう。食事ならば、5つ星レストランからフードコートの軽食、スーパー、そしてデリバリーなど幅広い選択肢があります。フィットネスの場合にも、クラブでのエクササイズ、スマホを使った自宅でのエクササイズ、職場でのバーチャルエクササイズ、旅行先での参加、フィットネスイベントやゲームでの参加など、様々な形があります。」

    もしかすると彼らは切望する幅広い選択肢を既に利用できているかもしれません。しかし会員が施設に戻ってきた時には、既に提供されている高品質なクラスの幅広さを再認識してもらう必要があるでしょう。グローバルフィットネスレポートによると、消費者がフィットネスクラスを選ぶ時の最大の要因はインストラクターのクオリティーだといいます。そのため、クラブのロックスター・インストラクターが確実に複数のワークアウトの訓練を受け、コレオや音楽リリースを定期的にアップデートしていることが重要です。

    クラブのワークアウトやインストラクターチームを見てもらうためのクラブイベントを開催することも、クラブを最高の状態でアピールできる素晴らしい方法です。ロックスター・インストラクターを招き、エキサイティングなワークアウトを提供すれば、クラブの強いコミュニティ感覚を強調することもできるでしょう。イベントは新規会員を獲得する優れた方法にもなります。クラブが提供できるあらゆるものを紹介し、気に入ってもらうためには、コンバージョンやトライアル体験を成功させることが極めて重要です。

    3. フレックスな魅力を活かしたワークアウト

    MindBody社のレポートによると、調査対象者の19%がフィットネスクラスに参加することに気後れしているということなので、 クラブが成長するためにはこの壁を取り払うことが 極めて重要です。現代会員の期待に応えて「クラブ内でも自宅でも使えるソリューション」、つまりあらゆるチャンネルを通してあらゆる場所でフィットネス体験を提供するアプローチを導入することは、彼らがまずは自宅でワークアウトを始められるようにサポートすることであり、クラブへの入会をためらう人々に働きかけるためのひとつの戦略なのです。同レポートによると、35%のエクササイザーが、デジタルワークアウトを通して出会ったフィットネスクラスに実際に通い始めたと答えています。さらに、現在デジタルワークアウトを行っている人の4分の1は、彼らのジムやスタジオを通してデジタルワークアウトにアクセスしています。

    この統計は、「クラブ内でも自宅でも使えるソリューション」アプローチには、潜在顧客が自宅からクラブへと移行するのをサポートすることによって会員増加を促進できる大きな可能性があることを示しています。また、ライブとデジタルのワークアウトを融合させることで、現代消費者のウェルネスへの幅広い期待に応え、彼らがどこにいても自由にワークアウトできるようにします。

    4. Bring the beat

    スター・インストラクターが指導するライブワークアウトの興奮を味わったことのある人なら誰でも、ビートに合わせて身体を動かすことはポジティブになれる体験だと分かるでしょう。MindBody社の調査では、ワークアウトをするとき音楽がモチベーションを高めると71%もの人が言っており、エクササイザーにとっていかに音楽が重要であるかが現れています。

    ブルネル大学でスポーツ・エクササイズ心理学を教えるコスタス・カラゲオルギス教授は、エクササイズのテンポにぴったり合った音楽は、疲労に対する知覚を最大12%低下させ、有益なエクササイズ効果を最大15%、運動効率を最大7%向上させ、さらには持久力を15%高めるということを明らかにしました。

    カラゲオルギス教授は同研究についてこう説明しています。「音楽を運動に同期させることで持久力は大いに高まり、クオリティーの高い音楽がモチベーションを引き出すことにより疲労を感じづらくなるという結果が得られました。」

    では、クラブ内でも自宅でも会員のウェルネス・ニーズを満たす機会がある中で、あなたは新しい会員の考え方にどう寄り添いますか?