
アメリカの伝説的画家でありテレビタレントのボブ・ロスは、かつてこう言いました。「ほんの少し視点を変えるだけで、まったく新しい世界が見えてくる」。これは、次世代インストラクターの発掘にも当てはまる考え方です。ほとんどの人は、個人的な目標達成のためにフィットネスクラブに入会します。しかし、クラブに通い続ける理由の多くは、そこで生まれる「コミュニティ」にあるのです。そのため、熱心な会員であふれるクラブには、インストラクター候補を見つける絶好のチャンスが広がっています。
ここ最近のフィットネス業界は目まぐるしい成長を遂げており、施設の利用者数も増加傾向にあります。需要の高まりに対応できるだけのインストラクターを確保することは、多くのクラブにとって無視することのできない課題です。「世界的に見ても、約半数のクラブ運営者はインストラクターの確保に苦戦しています。その一方で、残りの半数は簡単にインストラクターを見つけられると言います」とはフィリップ・ミルズ。「どちらの意見も正しく、結局のところは捉え方次第なのです」と付け加えました。
では、一体どこから始めればいいのでしょうか? Les Mills Connectの求人情報を活用することもできますが、最も効果的な方法は「スタジオでインストラクターの原石を探す」ことでしょう。満足度の高い会員は、すでにクラブの文化や価値観を深く理解しているため、インストラクターへの転身も比較的スムーズだと言えます。さらに、会員がインストラクターになることでコミュニティの一体感が高まり、その他会員の定着率アップにもつながります。では、これから紹介する4つの方法を活用し、理想のインストラクター見つけましょう。
1. 目の前にいる才能を見逃さない
新しいインストラクターを探すには、まず自分のクラブから始めることが最善と言えます。クラスに積極的に参加している会員は、すでにグループフィットネスを楽しんでいるだけでなく、そのメリットを十分に理解しています。実際、フィットネス業界への就職に対してオープンな若者2,500人を対象としたレポート、「Nurturing the Next Gen: Blueprint for Instructor Recruitment(英語のみ)」では、有力なインストラクター候補の60%がグループフィットネスの経験者であることが報告されています。彼らはプログラムへの理解度も高く、インストラクターとしての素質を十分に備えているのです。
Raintree Athletic Clubのグループフィットネスマネージャー、ローリー・デニス氏は、会員からインストラクターへの転身を成功させる秘訣についてこう語っています。「当クラブでは、Les Millsインストラクターの80%以上が会員出身です。実は私もそのひとりでした。まず、スタジオの前列で積極的に汗をかいている人に注目し、直接声をかけることが重要です。必要な情報を記載したカードを作成し、インストラクターから気になる会員に手渡しすることで勧誘の機会を増やしています」。
もちろん、自らアプローチしてくる積極的な会員もいますが、「手を挙げない=興味がない」と決めつけないでください。実際、Les Millsインストラクターのカムリンがそうでした。「もしマネージャーが声をかけてくれなかったら、私はインストラクターになっていなかったでしょう。最初は知識も経験もなかったのですが、今では挑戦してよかったと感じています」と現在の想いを語ってくれました。
2. ライフスタイルに注目する
学生もしくはキャリア初期のZ世代は、インストラクター候補として非常に有力な存在です。柔軟な働き方や副業ができる環境としてクラブを売り込むことは、ワークライフバランスを重視し、情熱を持てることを仕事にしたい彼らのライフスタイルにマッチしているからです。
あるレポートによると、Z世代の32%が「趣味を仕事にしたい」と考えていることが報告されています。つまり、グループトフィットネスはパーソナルトレーナー(PT)にとって、収入アップへのネクストステップとして、理想的な選択肢なのです。イギリスでクラブを運営するPlaces Leisure社のフィットネス部門責任者、サラ・ロバーツ氏は次のように述べています。「これまでもスタジオレッスンに適任だと思ったPTと話したことはありますが、多くはパーソナルトレーニングに固執する傾向にあります。自分にはグループフィットネスの指導は向いていないと感じるのでしょう」。
「スタジオレッスンに前向きでないPTには、参加者とのコミュニティを築く上でグループフィットネス以上のものはないことを伝えています。参加者と会話を重ねていくうちに信頼関係が生まれ、結果としてその参加者がPTを始める時に検討してもらえるようになるのです」とも語りました。
また、インストラクター候補の年齢に関係なく、最適なプログラムを見極めることも重要です。イギリスのフィットネスクラブBannatyneでは、コーチングスキルが不可欠なステーション形式のフルボディサーキットワークアウト、LES MILLS CEREMONY(日本未導入)を導入しています。
Bannatyneの前プログラム責任者、オリバー・コックス氏は次のように述べています。「LES MILLS CEREMONYのおかげで、これまで開拓できていなかった層にもアプローチすることができました。従来タイプのトレーナーにも受け入れられ、結果としてスタッフの活躍の場が広がりました。同時に、会員体験の向上にもつながっています」。
3. SNSを使ってスタジオを宣伝する
世界中で50億人以上が利用しているSNSは、ターゲット層にリーチする上で最適な場所です。前述のレポート「Nurturing the Next Gen: Blueprint for Instructor Recruitment(英語のみ)」によると、有力なインストラクター候補の58%が、フィットネス専用アカウントを持っていることが報告されています。施設のジムエリアを見渡しただけでは、誰が積極的にSNSを活用しているかはわかりません。しかし、ハッシュタグを活用すれば簡単にターゲット層を見つけることができます。例えば、#lesmills(#レズミルズ)や#groupfitness(#グループフィットネス)を検索してみると、きっと未来のインストラクターを見つけることができるはずです。プログラム名で検索してもいいかもしれません。
まずは定期的に投稿することで、アカウントを活性化しましょう。何より、フォロワーの目に留まりやすくすることが重要です。人気インストラクターに投稿を依頼し、事前にクラスの雰囲気を伝えることで参加意欲を高めるのもいいでしょう。また、インストラクターの日常を紹介すれば、インストラクターへの理解が深まり、興味を持つキッカケになるかもしれません。
さらに、現在ライセンス休止中のインストラクターに対しても、クラブの魅力やコミュニティの温かさを伝えることで復帰を後押しできます。クラブのブランドにふさわしいインストラクターを惹きつけるだけでなく、インストラクターにとっての理想的な環境をアピールすることにもつながります。
4. インストラクター採用中であることを会員に知ってもらう
意外と見落とされがちなのが「採用していることを会員に知らせる」ことです。施設内で採用活動を行う際、会員に伝えることを忘れてはいけません。グループフィットネスに参加している人へアプローチするには、スタジオ内にポスターを掲示して伝えるのが効果的です。クラス前後に採用情報を目にすることで、次のクラスに参加した際にも改めて意識してもらえます。また、ポスターを最大限に活かすためには、使用するクリエイティブが重要になります。ぜひ、Les MillsのクラブパートナーのみがアクセスできるMarketing Studioをご覧ください。SNSをはじめ様々な用途で使える写真や動画、さらにプログラムポスターなど、クラスの集客や新規会員の獲得に役立つ素材を多数ラインナップしています。
さらに、インストラクター候補とつながるクリエイティブな方法を考えてみましょう。例えば、クラブの人気インストラクターを招いたQ&Aセッションを開催し、様々な疑問を解決する機会を設けるのも効果的です。前述の「Nurturing the Next Gen: Blueprint for Instructor Recruitment(英語のみ)」によると、インストラクターになることに対する障壁のトップ3は、「メンターがいないこと」「サポート体制が整っていないこと」「トレーニングを受ける自信がないこと」でした。こういった課題に向き合い、必要な情報を明確に伝えることで、未来のインストラクターの不安を軽減できます。
アメリカ・ノースカロライナ州のイーストキャロライナ大学でウェルビーイングディレクターを務めるスティーブン・トロッター氏も、会員をインストラクターに育てるための準備の重要性を強調しています。「私たちは、グループフィットネスのクラスや教育プログラムから学生インストラクターを採用することが多いです。資格取得に向けたクラスも用意しています」。
「また、経験豊富なインストラクターが新人を指導するメンタープログラムも実施してます。これにより、ベテランインストラクターの目的意識を高めることもできるのです」と続けました。
チェックリスト:スタジオでインストラクターに適したクラス参加者を見つける方法
今後スタジオでインストラクター候補を探す際、ぜひ参考にしてみてください。
- コリオグラフィーを完璧にこなす人:
新しいリリースの動きを素早く習得し、最小限の努力で最大限の自信を持って動いている参加者に着目しましょう。 - クラスの雰囲気を盛り上げる人:
少しくらいコリオグラフィーを間違えることがあっても、とにかく楽しむ。スタジオのエネルギーを高める存在。コリオグラフィーは学ぶことができますが、情熱を学ぶことはできません! - つい人を助けてしまう人:
新しい会員にトレーニングツールの場所を教えたり、親切にサポートしたりする参加者は、生まれながらにしてリーダーシップを備えています。すでに、教える準備ができているかもしれません。 - 自分の世界に入り込んでいる人:
スタジオの最前列にはいないかもしれませんが、真剣にグループフィットネスに取り組んでいる証拠です。スカウトを待っているかもしれません。 - すべてのクラスに参加している人:
インストラクターと同じくらいスタジオにいる参加者なら、グループフィットネスが大好きなはずです。せっかくなら、正式にインストラクターになることを提案してみてはいかがでしょうか?