Z世代がジムを支配する
2023年6月に発表されたレポート『Gen Z Fitness: Cracking the Code』によると、Z世代の3分の1がすでにフィットネス施設を利用しており、さらに50%はワークアウトを始めたいと考えていることが明らかになりました。
このレポートは、北米、ヨーロッパ、アジアの16歳から26歳の若者4,000人以上から得た定量的・定性的洞察をもとにした、「今後世界的に大きな消費力を発揮する世代」とも言われているZ世代のフィットネスに関する過去最大の調査です。主な調査結果は以下の通りです:
- 定期的に運動すると回答したZ世代のうち72%が、クラブの中でも外でもトレーニングするハイブリッドなアプローチをとっていると回答
- クラブに通うZ世代の81%はグループワークアウトに参加していると回答
- 定期的に運動をする人のうち44%が、ジム以外で有料のフィットネス・アプリを利用していると回答
Z世代にとって、フィットネスへの入口は無数にあります。つまり、2024年にこの会員増加の大きなチャンスを最大限に活かすため、クラブ経営者は多くのことを考えなければなりません。
去年に引き続きストレングストレーニングが人気
2022年には最も人気のあるワークアウトに選ばれ、Z世代が最も好きなワークアウトとなったストレングストレーニングは、2023年も目覚ましい成長を遂げました。ウェイトエリア増設のために世界中のクラブが有酸素運動器具を入れ替え、筋力ベースのクラスが急速に脚光を浴びるようになりました。
フィットネス業界では、この若い会員たちのウェイトに対する飽くなき欲求(調査結果によると、現在エクササイズをしている人の81%が施設でフリーウェイトを使用している)が話題になっていますが(現在エクササイズをしている人の81%が施設でフリーウェイトを使用している)、彼らの関心はストレングストレーニングだけではありません。2023年のレポート『Gen Z Fitness: Cracking the Code」によると、Z世代におけるエクササイズ愛好者の64%は、様々なワークアウトを選んだり、新しいワークアウトを発見したりすることを強く望んでいることが分かりました。
ストレングス&コンディショニング・ワークアウトに対するZ世代の熱意は、ストレッチ、ヨガ、ピラティス・クラスなどのスカルプト・ワークアウトにつながり、それらのワークアウトは筋肉を増強し引き締めるための補完的なトレーニング方法としてクラブで復活を遂げています。本レポートによると、Z世代におけるエクササイズ愛好者の63%がリフォーマーピラティス、57%がヨガ、そして55%がマットピラティスを楽しんでおり、スカルプト・ワークアウトへの強い意欲が示されています。
上質な経験が豊かなリターンをもたらす
ブティックスタジオのように、目覚ましい結果をもたらす高度にカスタマイズされた体験を提供することは、会員をクラブに呼び戻すために不可欠です。2023年にあらゆる規模のクラブで人気を集めたのは、より高度なグループトレーニングでした。これは、流行のプログラミングに個人指導や期間限定コースを組み合わせ、よりパーソナルなクラブ体験を提供することで、会員に高いコミュニティ意識と価値観を与えます。
このアプローチは、オランダのLifestyle & Health Club Magicのような運営会社に大きな収益をもたらしました。同社の創設者スコット・エルダーはLES MILLS STRENGTH DEVELOPMENT™️を、「月々の会費とは別に249ユーロがかかる12 週間限定プログラムとして提供しています」と語ります。
「各セッションは、1クラス最大12名で行います。そうすることで、参加者一人一人が必要とするものに基づいてフロアコーチングをよりパーソナルなものにできます。」
米国のマルチサイト運営会社The Edge Fitnessも、2023年にSTRENGTH DEVELOPMENTを試験的に導入し、成果を得ました。同プログラムは、Les Mills以外のプログラムも含め、すべてのクラブで全国平均を上回る結果をもたらしました。初回レッスンに参加したメンバーのうち92%が再度レッスンに参加し、80%がSTRENGTH DEVELOPMENTを他者に勧める可能性が非常に高いと回答しました。このトレーニングスタイルに対する参加者の意欲から、同チェーンは現在、30施設近いクラブでSTRENGTH DEVELOPMENTを展開しています。フィットネス・オペレーションのディレクター、ジェニー・アウは「STRENGTH DEVELOPMENTは、目標を設定したり、日課を変えたり、お気に入りのNetflixシリーズのように はまってみたいという会員にとって、8~12週間チャレンジするのに最適なプログラムです。」と述べています。
TIKTOKによるダンスのリバイバル
2023年、ダンスとポップカルチャーは切っても切り離せない関係にありました。TikTokの圧倒的な勢いは、ダンスフィットネスをメインストリームに押し戻し、このカテゴリーに新たな息吹を吹き込みました。スポーツ界のスターから高齢者まで、あらゆる人がバズった振り付けの再現を投稿し、何百万人もの若いダンスフィットネス・ファンを生み出しています。
クラブがTikTokでの存在感を高め、膨大なフォロワーを取り込んでいく中で、ダンスプログラムの提供は新たなファンをスタジオに引き込む有効な手段となっています。ダンスクラスは上手く提供することができれば、その成果は目覚ましいものとなり得ます。ダンスは(クラブ内でもソーシャルメディア上でも)新しいことに敏感で、友人と一緒に行動するのが好きな人々を惹きつける傾向があるため、クラブはスタジオの周りに賑やかで熱心な会員コミュニティを築くことができます。ダンスフィットネスをさらに充実させることで、より多くのクラブが2024年のスタートを幸先よくきるできることでしょう。
インフルエンサーを駆使して会員の成長を促進
メディアの細分化が進む中、市場に参入するルートは無限にあります。しかしながら、この先どのようなソーシャルメディアを使うにしても、インフルエンサーを起用すれば確実にZ世代の注目を集めることができます。Z世代にとって、インフルエンサーは自分たちが興味を持つブランドを象徴する人です。Z世代のうち55%は、インストラクターやトレーナーを地域のフィットネスインフルエンサーになり得る存在として認識しています。つまり、クラブが所属するインストラクターをアピールすることが認知の拡大とファンの獲得につながるのです。
Z世代の55%が毎日8時間をオンラインで過ごし、1日5時間以上スマホを使用しています。指先で瞬時に情報を得られる環境で育ったこの世代は、情報を入手し裏付けられることからも、意思決定に高い自信を持つようになりました。クラブやスタッフを信頼できる情報源として位置付けることで、オンラインにおいても実生活においても、Z世代にとってのインフルエンサーになることができます。インストラクターは、すでにクラブ内のインフルエンサーとして毎週何百人もの忠実なフィットネス・フォロワーにやる気を起こさせ、楽しい時間を提供しています。ソーシャルメディアにおいても彼らの魅力を賢く活用することで、クラブはオンラインでさらに多くのファンを獲得し、彼らを施設に誘導し、会員増加を促進することができます。
新たな次元へと進むフィットネス
META Quest 3ヘッドセットのLES MILLS BODYCOMBAT XRの登場は、フィットネスゲーミフィケーションの新境地を開きました。METAの創設者であるマーク・ザッカーバーグは、9月にMETA Quest 3ヘッドセットを発表した際、次世代イノベーションの一例としてBODYCOMBAT XRアプリにスポットライトを当て、テクノロジーがフィットネスを全く新しい次元へと導く可能性を強調しました。
このヘッドセットの新機能により、ユーザーは完全没入型のVRと革新的なMR(複合現実)のいずれかを選択することができ、これまでにないハイテンションなゲームプレイを現実世界で楽しむことができるようになります。MRフィットネスの登場は、デジタルと現実世界のワークアウトを融合させ、ユーザーの現実環境と仮想トレーニング空間を融合させることで、これまで想像もできなかったワークアウト体験を提供します。
フィットネスゲーミフィケーションのトレンドが定着していく中、音楽、映像、ウェアラブル、インストラクターが融合した没入型ワークアウトの刺激的な新潮流が市場を拡大し、爽快なフィットネス体験で新たな参加者を魅了することが期待できます。