
伝統的なピラティスとは?
ピラティスは、身体の動きと呼吸を連動させる低負荷エクササイズです。筋力とモビリティの向上、アライメントの改善、体幹を安定させる筋肉の強化などに重点を置いています。
なぜピラティスはこれほどまでに人気なのか?
1920年代初頭、ドイツ人フィジカルトレーナーのジョセフ・ピラティスは、筋肉のバランスと神経筋のパターンを細かく調整し、筋力を最適な状態に保つ低負荷エクササイズを考案しました。これが「ピラティス」の始まりです。ピラティス初期のエクササイズは、特に身体のバランス維持、背骨のサポート、体幹を構成する抗重力筋のコントロールに重点を置いており、その上でマインドの活用も重視されていました。こういった特徴から、当時のピラティスは「コントロロジー(Contrology)」と呼ばれていたのです。
当初、ジョセフ・ピラティス考案のエクササイズはリハビリを目的としたものでしたが、移住先のニューヨークでスタジオをオープンすると、その斬新な手法はバレリーナや体操選手の間で瞬く間に評判になりました。その評判は、柔軟性や筋力、体力の向上を求める社交界の女性たちにまで広まり、あっという間に8番街のピラティススタジオは大盛況となったのです。
1990年代後半になると、マドンナやグウィネス・パルトロー、ジェニファー・アニストンといったセレブリティーがピラティススタジオへ通う姿が目撃されるようになり、再び世間の関心はピラティスへ集まるようになりました。以来、ピラティス人気は高まるばかりです。2023年、MindBody(ウェルネス業界で幅広く採用されている予約プラットフォームの運営会社)は「1年で最も人気のあったワークアウトはピラティスである」とのレポートを発表しました。ピラティスクラスの予約は前年比で92%もの増加を見せ、ピラティスに関するGoogle検索は71%も急増しました。マットピラティス、リフォーマーピラティス、コンテンポラリーピラティス、HIITピラティス、ホットピラティス、ストットピラティス、ウィンザーピラティス、クリニカルピラティス、クラシカルピラティス……、ご覧の通りピラティスの種類は多岐にわたります。つまり、誰もが自分に合ったピラティスを見つけることができるのです。
この記事を読めばわかること:
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ピラティスがもたらす健康面での効果
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ピラティスの種類
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ピラティスに適している人
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ピラティスを日々のエクササイズルーティンに組み込む方法
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ピラティスを始める際のアドバイス
ピラティスがもたらす効果
体幹やモビリティを向上し、心身の健康をよりよいものにする。これらはピラティスがもたらす効果の一部でしかありません。研究によると、睡眠の質改善や性生活の向上、認知機能や免疫力のアップなど、あらゆる効果を期待できるのです。
また、ピラティスは自身の身体に対する意識を高めるのにも効果的です。ダンサーでありトレーナーでもあるサマー・ブラッドリーは、ピラティスの効果について次のように語っています。「ピラティスのおかげで、身体への意識がかなり高まったと感じています。おかげで自分をコントロールできていると感じられるのはもちろん、怪我予防につながり、また他のワークアウトがより効果的になっています。コントロールしながら動くことでアライメントを修正する余裕ができ、体幹と臀筋群が強化されました」。
「ピラティスは、心身機能、アライメント、体幹の強さ、姿勢、コントロール、集中力、呼吸を改善します」グレン・オスターガード
科学的裏付けのあるピラティス6つの効果
- ピラティスは身体への意識とバランス感覚を高めます - 動きと呼吸に集中することで固有受容感覚(身体の感覚認知)が向上し、身体の動きに対する意識が高まります。それは、特に年齢を重ねるにつれて重要となる、怪我や転倒の防止にもつながるの身体的機能です。
- ピラティスはモビリティを向上させます - ゆっくりとコントロールされたストレッチ運動で柔軟性を高め、同時に筋力を強化するため、結果的にモビリティが向上します。柔軟性が高まったからと言って必ずしも機能的メリットをもたらすわけではありませんが、モビリティの向上は関節の動きを改善します。
- ピラティスはストレスを軽減し、やる気を高めます - 呼吸に集中することで神経系が反応し、コルチゾールレベルの低下によりストレスの軽減が期待できます。また、一般的な運動と同じく酸素の流れや血液循環を促進するため、気分を向上させるエンドルフィンが分泌されることでやる気が高まります。学生を対象とした研究では、ピラティスが達成感や認知機能を向上させることが明らかになっています。
- ピラティスは姿勢を改善します - 抗重力筋の強化やアライメントへの意識向上により姿勢が改善され、結果として頭痛や肩こりが軽減します。
- ピラティスは怪我のリスクを軽減します - 筋力を強化することで関節を動かす際の安定性が高まります。そのため、スポーツをする人には怪我予防として効果的です。
- ピラティスは腰痛を和らげます – 身体を動かすことは、最も腰痛に効く魔法の薬と言われています。ピラティスは体幹の深部と骨盤底筋を鍛えるので、腰を安定させ、腰痛を和らげるのに役立ちます。
人気のピラティス
1. マットピラティス
初心者に最適なマットピラティスは、ピラティスの代表的な動きを取り入れた自重エクササイズです。体幹のコントロールや筋力、スタミナの向上に効果的です。一般的なクランチを応用した「パルス100回」や体幹の安定性を高める「レッグサークル」、さらに「プランク」や「サイドプランク」「シングルレッグ」および「ダブルレッグ」のストレッチなどが人気です。
2. リフォーマーピラティス
リフォーマーピラティスでは、ストラップやスプリング、プーリーが付いたスライド式ベッドのようなマシンを使用します。エクササイズの多くはマットピラティスの動きに似ていますが、ストラップを持ったり引っ張ったりすることで抵抗が加わり、より高い強度が特徴です。
3. コンテンポラリーピラティス
ハイブリッドなピラティスとも言われているコンテンポラリーピラティスは、伝統的なピラティスの動きを様々なタイプのムーブメントを融合させるアプローチです。ダンス&ピラティスもハイブリッドなピラティスの1例です。LES MILLS SHAPESではピラティス、パワーヨガ、スカルプティングの融合を、BODYBALANCEではヨガとピラティスの融合を体験することができます。
4. HIITピラティス
高強度インターバルトレーニング(HIIT)の人気を活かしたHIITピラティスは、「ブリッジ」や「レッグリフト」「プランク」といったピラティスのエクササイズと、心拍数を上げる有酸素運動のインターバルを融合させたものです。このアプローチにより、筋力強化と効率的なカロリー消費を同時に実現します。
ピラティスを教えているヤヨイ・マッチは、身体への意識を高めるのにピラティスは素晴らしい方法だと述べています。「どれだけ汗をかき、どれだけ身体に負担をかけるか、どれだけ早く結果を出すか……。それはワークアウトではありません。長く愛情と活力に満ちた人生を送るためには、まずマインドから始まることを理解しなければなりません。それは、心と身体のつながりの中にあります」。
ヤヨイは、自分の身体の声を聞くためにピラティスを活用しているそうです。「ピラティスは、自分の身体が求めているものを知るための時間です。呼吸を整え、神経系を調整するだけでも十分です。もしくは全身を動かし、エネルギーを使って目覚めさせるのもいいのでしょう」。
BODYPUMP、RPM、LES MILLS SPRINTなどのプログラムを開発したグレン・オスターガードもまた、ピラティスの大ファンです。「ピラティスをやれば、疲弊することなく身体の機能を向上させることができます。どのように動くかが重要であり、何回やったかは重要ではありません」とはグレン。また、ピラティスは単独でも他のワークアウトの補完にも最適だと主張します。「心身機能、アライメント、体幹の強さ、姿勢、コントロール、集中力、呼吸を改善します」と付け加えました。ピラティスを始めたばかりの人へのアドバイスとしては、ゆっくりと始め、自分の筋力と柔軟性を認識し、できる範囲内で行うこと、そして一貫性を保つことを勧めています。
ピラティスにデメリットはありますか?
ピラティスはフィットネス業界を勝ち残るための必勝法ではありますが、あくまで最適なルーティンを構成するひとつにしか過ぎません。ACSM(米国スポーツ医学会)のガイドラインによると、理想的なトレーニングプログラムは、有酸素運動と筋力トレーニング、ストレッチエクササイズをバランスよく取り入れたものだとしています。基本的に、ピラティスには有酸素運動の要素はないに等しいのです。
ピラティスはヨガとそこまで違うのですか?
ピラティスとヨガは似た者同士に見られる傾向にありますが、実際にはいくつかの違いがあります。低負荷で呼吸に集中するという点は共通していますが、ポーズを維持する、もしくは次へと流れるように移行するヨガに対し、ピラティスでは、ポーズのあとに筋肉を刺激するためパルスさせたり、四肢をレバーのように動かしたりします。
Les Millsが提供するピラティス系プログラム
LES MILLS PILATES
夢中になれる音楽と振り付け、そして科学的に裏付けられた最新のピラティスエクササイズ。 現代的な呼吸法とゆっくりシンプルな動きで、腹部、臀部、背部、股関節まわりを鍛え、正確なテクニックと コントロールが身につきます。伝統的なピラティスとLes Mills エクスペリエンスの融合により、 参加者は、強く、穏やかで、ハッピーな気持ちでクラスを終えることができます。
開発裏話をはじめ、よりディープなストーリーを知りたければ『Les Millsが現代的アレンジを加えた新しいピラティス』もご覧ください。
LES MILLS SHAPES
LES MILLS SHAPESは、ピラティス、パワーヨガ、スカルプティング(特定の部位をターゲットにしたエクササイズ)を融合させた、6本のリリースからなるローインパクトのストレングスワークアウトです。理学療法士とマットピラティスインストラクターとのコラボレーションによって開発され、コントロールされた動きで主要な筋肉群を強化、アラインメントが整い、柔軟性も高まります。
BODYBALANCE
心と身体、そして生活そのものの質を向上させるLes Mills考案のエクササイズ。初心者から経験者まで幅広い層が参加しやすいBODYBALANACE™は、ヨガをベースにしながら太極拳やピラティスの要素を取り入れ、柔軟性を高めつつ体幹を強化します。気持ちのいい音楽に合わせて、呼吸をコントロールしながら動くエクサササイズは、リフレッシュしたい時にオススメ。もちろん、慣れていないメンバーのためのオプションも用意しています。