パトリシア・ラウス氏が経営するニュージャージーのアトランティッククラブは、40年以上の歴史を誇り、IHRSAが選ぶジムのトップ50に常にランクインしている、アメリカで最も有名なフィットネス施設のひとつです。
しかし2020年3月にパンデミックが発生したとき、経営陣はこの事態を機にサービス内容を抜本的に改革しなければ、クラブの将来が深刻な脅威にさらされることに気付きました。
「デジタルトランスフォーメーションには以前から取り組んできましたが、コロナが発生したことで、やるなら今しかないと思いました。健康、フィットネス、ウェルネス施設が取るべきもっとも重要な戦略のひとつは、従来の枠を超えて、会員に総合的ウェルネスソリューションを提供することです。私たちにとって、このことを実現するチャンスが訪れたのです。」とアトランティッククラブCOOのケビン・マクヒュー氏は、説明します。
レガシーを引き継ぐ
大規模な変革を決意する一方で、アトランティッククラブの伝統も重視したい上層部は、展開2 拠点の今までの成功を踏まえながら、更なる強化を図ることを決めました。
約18万平米という広大な敷地内に、ヘルス&ウェルネスセンター、米国最大級のデイスパ、巨大なスポーツ複合施設、プライベートスクールなどを擁するメインクラブには、会員が6,000人在籍。そして2つ目は、約3,000平米の敷地内にフィットネス、アクアティクス、スパなどを提供する、会員数3,000人のブティックスタイル施設です。
ロックダウンにより、会員の運動習慣維持のためにデジタル上の繋がりが急務となり、そのためにはコンテンツと配信ツールの調達が最重要課題となりました。そこで、情報収集、予約、ワークアウトコンテンツにアクセスするためのスマートヘルスクラブというアプリを導入し、コンテンツは既存のパートナーであったレズミルズのサービスを利用することにしました。
アトランティッククラブのマーケティングディレクター、クリスティン・マクコネル氏は、「リモート配信がどういうものなのか、会員にワークアウトを提供するベストな方法は何なのかなど考えながらの作業は、本当に勉強になりましたよ。最初の頃に配信された、レズミルズのワークアウトコンテンツには本当に助かり、我々の機動力となりました。ワークアウトは会員にとても好評で、およそ1000人のユニークユーザーがコンテンツを利用していました」と、振り返ります。
「ゆくゆくはクラブ所属のインストラクターによるワークアウトをスマートヘルスクラブのアプリで配信したいと思っていましたが、それと並行して会員に人気の高いレズミルズプログラムの品質の維持も必要だと感じていました」とマクコネル氏は加えます。
施設の改装
ロックダウンで会員が自宅ワークアウトに励む中、経営陣はクラブ体験をよりよいものにするため施設の改装に取り組みました。
施設の再開後にもソーシャルディスタンスを保つ必要性を考慮して、メイン施設の広さ約2,000平米の室内競技場を、広大なフリーウェイトとファンクショナルトレーニングエリアに生まれ変わらせました。また、35台の自転車を配するサイクリングスタジオはソーシャルディスタンスを保ちやすいよう体育館に移し、サイクルスタジオを新しいサウンドシステムと75インチのスクリーンを備えた最高級のバーチャルサイクリングスタジオにしたのです。
マクコネル氏は語ります。「バーチャルフィットネスを強化することにし、レズミルズの協力を得てふたつの専用スタジオを作りました。
バーチャルフィットネスは再開後の回復には欠かせません。特に、スタッフが少ない時やタイムテーブル調整が必要な時は特に。様々なバーチャルクラスを提供することで、会員は新しいクラスに参加することができ、さらにはライブクラスへの誘導にもなるのです。会員がトライしやすい環境を第一に考えているため、具体的なデータはまだ取れていませんが、会員のこれまでの評価は非常に高いと思います。」
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会員の声
ジャッキーのコメント:「私はバーチャルクラスが大好きで、新しい会員さんもそういう人が多いです。自分の都合に合わせてワークアウトできるし、新しいものに挑戦するきっかけにもなります。レズミルズのクラスはとてもよくできていて、ダイナミックで、テンポもいい。照明や背景、音楽もとてもいいと思います。でも一番の強みはインストラクターですね。チームとしてクラスを受ける感覚や、彼らが共有してくれるエネルギーが、自宅でのワークアウトの大きな励みになります。」
マーゴのコメント:「レズミルズが大好きです。週に5回バーチャルサイクルクラスに参加しています。指導が的確だし、インストラクターはやる気を引き出してくれるし、なんといっても音楽が最高です!毎日のように参加していても、全然飽きません。」
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オムニチャネル・サービス
アトランティッククラブの強みであるライブグループエクササイズクラスに、バーチャルや自宅ワークアウトコンテンツ提供を追加できたことは、クラブ外での会員とつながることをサポートするオムニチャネル戦略を遂行する上で、とても重要な要素の一つとなりました。
「オムニチャネルサービスで重視しているのは、会員に一貫した品質とメンバーエクスペリエンスを提供することです。デジタル面ではLES MILLS CONTENTを活用することでいつでもどこでもレズミルズのトップクラスのワークアウトを楽しむことができます。そして、クラブ体験においては、ソーシャルディスタンスが確保された広いスタジオで、インストラクターとともに楽しめるワークアウト。それに加えてバーチャルクラスという選択肢もあるのです」と、マクヒュー氏は語ります。
ロックダウン中に展開を始めた自宅ワークアウトの成功は、クラブ再開後にも受け継がれています。多くの会員はクラブに通えないときにも、自宅でワークアウトして、運動習慣を維持し、会員としての権利を最大限に利用しているのです。
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会員の声
アリソンのコメント:「ジムに行けないときには自宅でクラスを受講できるという柔軟性があるので、会費が無駄になっていないように感じます。クラブ内外を問わず、様々なサービスを受けられることは私にとってありがたいです。子供がいると思うように1日が進まないこともありますが、今ではいつでもワークアウトできるので、運動しない言い訳にはならないですよね。」
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明るい未来
強化されたデジタルサービスとクラブスペースの改装でロックダウンを切り抜けたアトランティッククラブはいま、業績回復とライブクラスに会員を呼び戻すことに全力を注いでいます。
「マスク着用義務が解除された後の6月には、たくさんの会員が喜びに満ちた表情でクラブに戻ってきて、お気に入りのワークアウトを再び行うことができました。現在は会員の約6割がクラブに戻ってきており、そのほかの会員については自宅でのワークアウトをサポートさせていただいています。オムニチャネル戦略により、今後何が起きようとも、あらゆる側面におけるサービスをカバーできるようになったのです」と、マクコネル氏は説明します。
ケビン・マクヒュー氏にとって、アトランティッククラブの改革とは、新しい考え方を受け入れること、そしてテクノロジーを敵ではなく味方として扱うことだったと言います。
「我々も他の大手スポーツクラブも、強みであるクラブのライブ体験を最大限に活かすだけでなく、会員がクラブに来られない時のための幅広いデジタルオプションを用意し、それらを活用する方法について会員に伝える努力を続けねばなりません。
将来のフィットネス業界を牽引する大手ヘルス&フィットネスクラブは、完全なオムニチャネルソリューションを提供することでしょう。その目標を目指す上で、我々はレズミルズとスマートヘルスクラブアプリにかなり助けられています。」