- 視力の向上
運動は長期的な視力を向上させると言われており、運動と白内障(世界的に失明の主要因としてあげられている)の発症率には関係があることがいくつかの研究によって明らかになっています。正確な理由は今のところ不明ですが、科学者たちは、種類を問わず定期的な運動によって活性酸素(DNAやタンパク質などに損傷を与える粒子)が減少することが影響しているのではないかと考えています。
- もっと賢く
もしあなたが物事を覚えるのに苦労しているのであれば、運動があなたのための特効薬かもしれません。運動は、記憶力、学力(特に子供)、注意力、実行機能(状況に応じて異なる考え方をし、感情をコントロールする能力)の向上など、認知機能のいくつかの側面を改善することが研究で示されています。有酸素運動は灰白質(脳の神経終末が集まっている部分)の量を増やし、脳の処理能力を向上させるのです。
- 心臓の細胞を再生させる
前述のように、運動が心臓発作のリスクを減らすことはよく知られていますが、すでに心臓発作を起こしている場合はどうでしょうか。心臓発作を起こすと、心筋の一部が死んでしまいますが、定期的な有酸素運動によって心臓の細胞が再生され、心臓発作によるダメージが回復することを示唆する研究結果が発表されました。心臓が完全に再生されるわけではありませんが、心臓発作のリスクを大幅に軽減することができます。これは、運動が心臓の保護タンパク質の量を増やし、心臓を覆う部分の血流を増加させ、アポトーシス(心臓の細胞死)の発生を減少させることが示されているためです。
- 腸の健康を長期的に改善
長期間に渡る持久力ベースの運動は、大腸がんのリスクを最大50%減少させ、胆石形成のリスクを減少させ、便秘や過敏性腸症候群(IBS)の発症を抑えることが分かっています。これは、定期的な持久力ベースの運動によって腸内細菌が変化するためと考えられています。ただし現行のガイドラインでは、腸に関連する急性症状がある場合は、その症状が治まるまでは高強度・高負荷の運動を控え、代わりにサイクリングなどの低強度・低負荷の運動を行うことが望ましいとされています。
- メンタルヘルスの改善
種類を問わず運動は、不安レベル、うつ病の症状、ウェルビーイング全般など、メンタルヘルスに関するいくつかの側面を改善することが示されています。さらに、筋力トレーニングは、気分の状態を高めることが示されています。また、あらゆる種類の運動が統合失調症などの深刻な精神疾患の症状を改善し、関連する抗精神病薬の副作用の発生率を低下させることも証明されています。このような効果が生じる理由はいくつかありますが、脳の機能を調節するいくつかのホルモンが増加し、上記のような症状を低下させることもそのひとつです。
結論
定期的な運動は、筋力系、有酸素系、持久系を問わず、一般的に報告されている効果をはるかに超え、さまざまな症状への効果が期待できます。運動はまるで「魔法の薬」のようなもの。ここまでのメリットを提示されたら、運動しないわけにはいかないですよね?
マイク・トロット氏はスポーツパーソナリティ心理学とスポーツ運動生理学を専門とするフィットネスの専門家です。英国を拠点に、グループエクササイズの介入や特徴、運動中毒、フォームローラーの生理学に関する学術的な研究を行い、さらにLes Millsのインストラクター、トレーナー、プレゼンターとして数々の受賞歴があります。