2020年の調査によると、産後の女性の40%がうつ病を訴え(パンデミック前は15%)、72%が中程度から高程度の不安を訴えています(パンデミック前は29%)。睡眠不足、医学的合併症、セルフケアの欠如といった一般的な母親としての課題が、パンデミックによる制限と孤立によって悪化しているようです。
運動は不安やストレスを和らげ、神経学的な効果をもたらすことが広く知られていますが、これは母親になって間もない女性も当てはまります。研究によると、出産後4~6週間で徐々に運動を再開した女性は、活動をしていない女性よりも、うつ病や不安感が低いことが報告されています。そして、2022年3月に発表された新しい研究のおかげで、わずかな活動でも大きな違いが生まれることが分かっています。
8週間にわたり、21人の女性(産後6週間から9ヶ月の間)が隔週で行われるグループ運動プログラムに参加しました。ワークアウトは45分の短いセッションで、体力や産後期間に応じて、強度を上げたり下げたりするオプションが豊富に用意されていました。
各クラスの直後から参加者は不安感の減少を報告し、8週間後には不安と抑うつのレベルが低下したことを確認しました。また、行動面では自主性が高まり、外的な圧力よりも個人的な興味や価値のために運動することを大切にすることが示唆されました。運動は基本的な心理的欲求に貢献し、自律性と有能感の増加、そして繋がりや帰属意識の効果をもたらしました。
運動のハードルを乗り越えるには、みんなで協力することが大切です
新米ママにとって、運動に対する障壁はたくさんあります。妊娠中は、身体活動レベルや運動自己効力感が低下し、その状態は産後も続くことがよくあります。さらに、生理的な変化、育児の義務、運動時のサポートが得られないなどの様々な課題は、多くの新米ママが運動を優先しない理由として考えられます。
そこで登場するのがグループエクササイズです。他の人と一緒に運動すると、よりハードに、より楽しく、より継続的に運動できることが科学的に証明されています。研究時はコロナ禍でグループで運動するには換気が十分な環境が必要だったため、母親たちは屋外で運動していましたが、毎回のワークアウトで強い結束力がみられました。これは、参加者の絆や親密感の向上、そして定期的なワークアウトの継続をしたことに反映されています。
また、これまでの研究で、45分間の有酸素運動セッションにおいて、赤ちゃんの同伴の有無による不安の解消に大きな差がないことが示されていますが、本調査は屋外でのワークアウトだったため、母親たちは赤ちゃんを連れてグループフィットネスクラスに参加することができ、運動への参加に対する重要な障壁の1つを取り除くことができました。インストラクターは、母親が運動中に赤ちゃんを抱いたり介助したりしなければならない場合、赤ちゃんをおもりにするオプションを提供しました。
LES MILLSのプレゼンターであり、最近復帰した新米ママでもあるディー・ローウェルは、次のように言います「自分の身体(と精神)能力に合わせて、オプションを選び、トレーニングを調整することが重要です。私のように妊娠前は動き回って元気だった人は、出産後すぐに元の身体に戻るだろう、と思うのは大間違いです。自分でも想像してないほど、復帰には時間を要しました!私は、自分の体が経験したことを忘れないように自分自身に時間と猶予を与えました。今は、以前と違って、ゆっくりと動く運動も好きになって来ました。」
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産後安全に運動に戻る方法
- アメリカ産科婦人科学会は、出産後4~6週間で徐々に運動を再開することを推奨しています(週150分の適度〜活発な運動)
- 運動を再開する前に、医師や助産師のアドバイスを受けるようにしてください
- 自分の身体の声を聞きながら、ゆっくり行いましょう。運動する気になれない日は無理をせず、休みましょう。仮にその期間が1週間や1ヶ月だったとしても、大丈夫です。準備ができたら、また再開しましょう