イニシャルモジュールトレーニングの時に受け取った初めてのリリースを覚えていますか?またそれを習得するまでにどれくらいの時間が掛かりましたか?当時の気持ちを表現するならば、もう必死!という表現が適切でしょうか。
何年も教えていると、より早くリリースを覚えるための小さなコツをつかむことができます。最新のコリオグラフィーをスポンジのように脳に吸水させることができればいいのですが、現実はそう簡単にはいきません。新曲をマスターするために、私たちは四半期ごとに一定の時間を割く必要があります。ここでは新人にもベテランにも参考になる、学習を加速させる8つのアイデアを紹介します。
- 常に音楽を聴く
「私はいつも音楽を聞くことから始めます」と、Les Mills Chinaトレーニングマネージャーのマット・スラクストンは言います。「出来る限り頻繁に音楽を聞くようにします。シャワーを浴びているとき、運転中、電車での移動中、運動中、食事中、洗濯をしているときなど常にね。そうすると特定の歌詞、リズム、パターン、楽器や曲調などが印象に残るようになります。音楽をよく知れば知るほど、教えるときに自然でリラックスした気持ちで臨めると思います。私は普段、そのワークアウトの流れを感じるためにまずリリースを順番に数回聴き、その後プレイリストをシャッフルして個々のトラックの理解度をテストするようにしています。」
- 実際に動いて練習をする
教える前にワークアウトを体験することで、次のことが可能になります。(1)動きを筋肉に記憶させる、(2)辛さ・キツさがどこにあるかを理解する(これはコーチングに役立ちます)、(3)新しい動きを練習する。
参加者の気持ちになってワークアウトを行ってみることで、クラスで最大限の効果を発揮するための指導ができるようになります。例えば、BODYPUMP™のスクワットトラックでカーフレイズを速いテンポで行う場合、これを自ら体験することでメンバーにウェイトの選び方についてアドバイスができます。また、LES MILLS GRIT™にレップチャレンジがある場合、実際に体験することで、ブロックを分割するさまざまな方法をクラスで提案することができます(例えば50レップある場合、ひとつのブロックにまとめるのか、いくつかのブロックに分割するのか、どちらがいいでしょうか?)。
- パターンを把握する
「コリオグラフィーノートを見ると、何度も繰り返されるセットがあることに気づきます。」と、ディー・ルーカス(米国)は言います。「例えばサビで全く同じシークエンスが毎回繰り返されていれば、曲の半分だけ振り付けを覚えればいいということが分かります。残りは同じセット、またはごくわずかな変化で繰り返すだけだからです。」
「私は視覚を通して学ぶタイプなので、新しいリリースを手に入れたらまずコリオノートを印刷し、似ているブロックにハイライトを入れます」とナディア・ハサン(米国)は言います。「BODYCOMBAT™ではA・B・C、BODYPUMP™では1・2・3など、似ているブロックを同じ色のマーカーで色付けしていきます。こうすることで、教える時に視覚的に色を確認することができます。例えばバックトラックでは、青2セットの前に緑2セットがあるということをイメージすることが出来るようになります。」
- マスタークラス映像の「プレゼンターボイスオフ」機能を駆使する
「私は自宅で『プレッシャー練習』をしています」と、トレーナーとして活動するジャスティン・ライリー(英国)は言います。「プレゼンターの声を消し、マスタークラス映像を再生しながら自分がメンバーにクラスを教えているつもりになります。音楽に合わせて動き、大きな声で指導しながら、集中力の妨げになる外的要因(犬やテレビの音、あるいは家で誰かに話しかけられたり)に対処します。そうすることで、自分がその曲をどれだけ理解しているかを判断することができます。このような状況でもトラックを最後まで教えきることができれば、完璧に覚えたと言えるでしょう。」
「ライブクラスでは、様々なことに気が散ってしまい、純粋にコリオグラフィーを教えることが出来ない場合もあります」とジャスティンは続けます。「もし途中でトラックが抜けてしまったら、マスタークラス映像をチェックして軌道修正します。そして、その曲をもう一度練習し、つまずいたところを修正します。これは、自宅での練習によりリアルな緊迫感を持たせるためです。勘違いを生みやすくなるので、このような『プレッシャー練習』はとても有効です。」
- コリオグラフィーを書き出す
「何年もの間、私はリリースを学ぶためにマスタークラス映像だけを見ていました」とサラ・シャーメリー(米国)は言います。「でもウェアやステージ照明、プレゼンターのキューに気を取られてしまい、リリースを覚えるのに何週間もかかっていました。ある日、いつもと違う方法を試してみたところ、時間の短縮に繋がりました。まず掃除や運転、ウェイトリフティングをしながらなど、できる限り音楽を聴き、次にマスタークラス映像を見ながら、コリオグラフィーを書き留めます。コリオグラフィーを書き留めるという単純な行為が、私の脳にそれを定着させるのです。普段から事前にリリースの音楽を聴き、音楽のハイとローを理解している分、簡単に大枠を掴むことができるのです。今では、BODYPUMP™は2~3時間、LES MILLS SPRINT™は30分、BODYSTEP™は4~6時間くらいで覚えることができます。」
- 他のインストラクターと一緒にリハーサルをする
もし可能なら、クラブの他のインストラクターとリハーサルを行いましょう。マスタークラスのプレゼンターは、リリースを撮影する前に何度もリハーサルクラスを行っていることを思い出してください。新曲発表会の前に練習すればするほど、当日ステージに立ったときに自信を持てるようになります。
「鏡の前で練習することをお勧めします」とラムゼイ・クラーク・アマバ(中東)は提案します。「一緒に練習できる人がいれば、さらによいでしょう。より楽しくなるし、トラック中のパフォーマンスを確認するのに役立ちます。」
同じく中東のインストラクター、イバア・アル・マスリはこう付け加えます。「練習中にビートから外れてしまったり、次の動きを忘れてしまったりすることはステージでも起こる可能性が高いので、ミスのない練習クラスは完璧なライブクラスに繋がることを忘れないでください。」
- チームティーチングをする
私たちがチームティーチングを好む理由は様々あります。より多くのエネルギー、インストラクター同士の交流、メンバーの楽しみなど様々ありますが、チームティーチングに参加することで、一人で全て担当するプレッシャーから解放され、また同僚から効果的なコーチングのアイデアをもらうことができます。
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回数を重ねることで簡単に!
新人インストラクターとして数時間でリリースを習得することは不可能に思えるかもしれません。無理をせず、時間をかけて、自分にとって最適な方法を見つけてみてください。1曲ずつ学ぶ必要があるのか、それともリリース全体を一度に取り組むのがいいのか。複数のプログラムを教えている場合、同時に学ぶのか、それともそれぞれを別々に学ぶのか。
また、自分に厳しくしすぎないようにしましょう。私たちは皆人間ですし、メンバーはコリオグラフィーのミスを許してくれるでしょう。そもそも新曲であれば、間違いに気づかれることもないでしょう。ショーン・ラファエル(英国)が提案しているように、もし振り付けが完全に狂ってしまい、次に何が来るのか分からなくなってしまったら、「リミックス!」と叫んでください。そうすれば、謝ったり、罪悪感に浸ることなく、自分の失敗を受け流すことができます。