この記事で学べること:
- 不安を和らげポジティブな気持ちを高めるためのヨガをベースにしたセッション
- ストレッチと瞑想が睡眠の質を高め、回復を促進する理由
- たった2週間で期待できるポジティブな変化
- 心拍変動(HRV)レベルを測定することの価値について
イライラや不安で夜寝つきが悪いのは、限られた人たちだけの悩みではないようです。世界保健機関(WHO)の「2022年メンタルヘルス報告書」によると、うつ病や不安症の割合はパンデミックの最初の1年間で25%以上急増し、現在、8人に1人が精神疾患を抱えながら生活していると推定されています。米国だけでも5,000万人が精神疾患に罹患していると報告されており、米国では成人のうち2,100万人がうつ病と闘っていると言われています。
一方で良いニュースとして、身体的な活動が精神疾患のリスクを軽減し、メンタル面での健康を長期的に促進するのに役立つことがより明らかになり、また理解も広まってきています。大規模なメタ分析により、1990年から2020年にかけて発表された関連研究の89%が、身体的な活動とメンタルヘルスの間には、統計的に明らかにポジティブな関係があることが確認されています。最新の知見のおかげで私たちは今日、メンタルウェルネスに最適なエクササイズの処方と、ネガティブな気持ちを和らげるのに役立つ特定のタイプのトレーニングが分かって来ました。
ストレスの解消法は汗を流す以外にもたくさんあります。最近の調査では、就寝前の短いストレッチと瞑想のセッションが睡眠を改善し、ポジティブな感情を高め、肉体的ストレスだけでなく精神的ストレスからの回復を促進することが明らかになりました。
就寝前のストレッチと瞑想セッションは、睡眠を改善し、ポジティブな感情を高め、精神的だけでなく身体的ストレスからの回復を促す。
就寝前に行うストレッチの効果を測るために、調査対象者はBODYBALANCEのヨガプログラムに基づいた20~30分のストレッチと10分の瞑想を行いました。対象者はこれを2週間に渡って週3回夜に行い、彼らの生活満足度、感情、睡眠の質、心拍変動(HRV)を測定しました。
2週間の間6回の短いセッションを行うだけで、睡眠の質、ポジティブさ、モチベーション、そして幸福感を高めることができる。
HRV は、心拍と心拍の間隔の変動を意味します。この間隔の長さのわずかな違いは、循環器系が健康であることの証であり、その人が最適な回復状態にあることを示します。意外なことに、拍動間の変動が大きければ大きいほど良いのです!HRVが高いほど、ストレスからリラックス状態に移行しやすくなり、日常生活のプレッシャーに対処する能力が高まります。HRVが低いと、不安や心血管系疾患のリスクが高まるという研究結果も出ています。
心拍の変動は、自律神経系(ANS)と呼ばれる神経系の一部によって制御されており、交感神経系(興奮)と副交感神経系(リラックス)からなっています。心拍数、血圧、呼吸、消化といった重要な事柄を制御するこの2つのシステム間の不均衡を特定し、環境、感情、思考、感覚に対して神経系統がどのように反応するかを観察することができるのです。
夜にセッションを行うことで、自然と一日の終わりに深い落ち着きが生まれ、質の高い睡眠と前向きな気持ちにつながる。
主席研究員のジンジャー・ゴットシャル博士によると、夜にヨガを行った人は、行わなかった人と比較してHRVの改善、睡眠の質、自信、モチベーション、不安、緊張、悲しみの減少など、あらゆる変数においてかなりの変化が報告されたと述べています。彼女は、夜にセッションを行うことの意義について、一日の終わりに深い落ち着きを自然に作り出し、それが質の高い睡眠と将来への前向きな見通しにつながるという効果があると説明しています。
短時間のBODYBALANCEセッションを2週間に渡り6回行うことで、心拍変動(HRV)を促進させ、以下の主要な効果を得ることができる:
- 睡眠の質が15%向上
- 自信に関連するポジティブな感情が39%増加
- 悲しみやネガティブな感情が39%減少
-モチベーションが29%増加
- 不安や緊張などのネガティブな感情が26%減少
- 日常生活への満足度が18%増加
Les Millsの研究責任者であるブライス・ヘイスティングスは、これらの知見は、現代の生活における精神的・肉体的ストレスからの回復を必要とするすべての人にとって良いニュースであると述べています。「『リカバリー』に対する人気が高まっていますが、それはしばしば、アスリートやハイパフォーマンスを求める人だけに必要なものだと誤解されていることがあります。私たちは皆、運動だけでなく、普段の生活からも回復を必要としているのです。この研究は、シンプルで的を絞った動きとマインドフルネストレーニングが日常のストレスや疲労からの回復を促すことを実証しています 。」
ゴッドシャル氏は続けて「トランスフォーメーション(変化)は、小さくても継続的な行動で誰でも起こすことができます。BODYBALANCEを始めるのに特定のフィットネスレベルは必要なく、定期的に行うことで、研究参加者が得たものと同じメリットを享受し始めることができます。」と述べています。