砂子 麻依(マイ):テーマ1。レイヤー3キューのバリエーションが限られてしまっているので何か解決策を伺いたいです。
ダン・コーエン(ダン):OK!まず君がレイヤー3のコーチングキューを行うときはどんな感じなのかな。
マイ:ダンとかレイチェルのビデオ見てるときとか、他のイントラさんみたいに言葉は出していても自分の中では、自分自身がレイヤー3になれていないと感じるんです。
ダン:マイ、君が思う「モチベーション」とは何を意味するのかな?参加者を見たとき、あぁこれがモチベーションだ。と感じる瞬間は何だろう?僕やレイチェルの事は一旦忘れて、マイ自身が感じるモチベーションとは何かな。
マイ:一番モチベーションを感じるのは私のコーチングにお客さんがテンションあがって、それこそパンチするときに思わず「ウェイ」って言ってたり、笑顔が増えたり、動きが一気に大きくなったときに、お客さんのモチベーションが上がってるんだと感じることが多いから、そこを目指しています。
ダン:身体的な変化だったり、声を出したりと色々あるよね。君はしっかりモチベーションというものを理解し、それが参加者の変化に繋がっていることは見えてるね。じゃあ、質問を少し変えて。マイにとってのモチベーションとは何?例えば僕にとってのモチベーション:僕はチャレンジすることが好きなんだ。例えば、自分が更に高く飛んだり、低くスクワットしたり、もっと早くパンチしたりすること。他のモチベーションとして僕は、参加者にエデュケーション(学び・知識)を与えるのが好きなんだ。その情報は参加者自体が感じられることについて、例えば今その場で感じられること、もしくはレッスンに通ううちに感じてほしいことだとかを伝える。これが僕にとってのモチベーションの捉え方。君はどうかな。
マイ:自分にとってのモチベーションは、お客さんが自分を見て動いてもらっているからそれを引っ張っていけるようにしたい。それこそロールモデルにしっかりなれるように、マネされても恥ずかしくないように動いて、効果的な運動にしてもらいたい。
ダン:一番シンプルにレイヤー3キューを考える方法は、自分のそのモチベ―チョンについての知識と、自信を参加者に説明することだと思う。例えば、よりコントロールをもってキックをするには、まず最初にどのようにコントロールされたキックを蹴るかの方法を説明するよね。それはレイヤー2になるよね。例えばこんな感じ「より後ろ足に重心を置いて。お尻や太ももの筋肉収縮を感じて。」そうすることでバランスが取れるので、キックが綺麗に出来る。まずレイヤー2を伝えて、参加者のテクニックを磨いていく。そしてみんなのテクニックがより安定してきたら、レイヤー3を使ってモチベーションを上げることが出来るよね。内因的、外因的なチャレンジキューが使える。例えば「椅子の上をめがけてキックしてると想像してみて」だとか、「短時間でどれだけのキックが出来ますか。」とか。レイヤー3キューは、その前に土台となっている情報が定着していればいるほど効果が出るんだ。ダメな例はこんなパターン。コリオを伝えてすぐに、「じゃあみんなもっと動きを大きくして、もっと早くやってみよう!」もちろん聞こえはモチベーションを上げているように見えるけど、参加者は「どうやって?」というHOWの部分がないと、どうやっても全力で頑張る方法が分からないんだ。だから段階作りがとても大切。これは単なるアドバイスで、他にもたくさんの方法はあるけど、レイヤー3キューを考えるとき、どういうチャレンジを参加者に与えたいか(内的、外的)を考えたらいいと思うよ。チャレンジはなんでもいいんだ、例えばもっと早くスプリントして欲しいとしよう。最終的な目標がこのチャレンジだとしたら、そこから逆算して、じゃあそのためには何をすればいいかな。まず、どうやって早くスプリントするか教えないといけない。だから最初の段階の、足の動きから説明する。「右左右」ってね。次にそれをテンポに合わせて動くやり方を教える。1,2,3ホールド!って。イチ、ニ、サン!イチ、ニ、サン!それができたら、彼らにもっと胸を張ってみて、腕を大きく動かしてみてと伝えてみる。こうやって構築していくんだ。レイヤー3が上手く着地するために必要な段階を与えているのさ。それが出来ればレイヤー3キューは実際はとても簡単なんだ。チャレンジングなのはそのレイヤー3を「どうやって?」というHOWの部分を理解してもらうこと。君はどうやってより良いレイヤー3キューを考えられるかを聞いてたけど、参加者をどうやってレイヤー3を上手く理解できるようにクラスを構築できるか、という事を考えたほうが解決策は見つかると思うんだ。どのようなステップを踏んでいけば参加者にレイヤー3が着陸するか、という考え方にシフトしてみよう。
マイ:理解できました!
ダン:分かったかな?(グーのポーズ)オッケー?じゃあ続けていこう。
マイ:テーマ2:自分色のパフォーマンスを見つけるためにした方がいいことなどアドバイスをいただきたいです。
ダン:君からもらった質問を見ていて面白いと思ったのが、質問の内容が何となく同じ分野に当てはまるんだ。最終的には「HOW]という事、自分がどのようにすればよりクラスが良くなる、活きるのかという事に関心を持ってるね。質問2ではパフォーマンスについてアドバイスが欲しいという事だね。質問1にちょっと戻るけど、そこではお客様にどうやってレイヤー3を着地させるかという「HOW]のステップを考えてと伝えたよね。それがいかにうまく参加者に伝わるかどうかは、君のしゃべり方が関わってくるんだ。
君はこのセッションの最初にレイヤー3を伝える時は実際に参加者を見ながらGOODとか良い感じという事を伝えると言っていたよね。賞賛を与えて人と繋がるのはコネクションだね。さぁマイ、もし「自分らしさをクラスで出したい」って考えたとき、君は自身の強みに頼ることが出来ると思う。これは僕の単なる憶測だから違ったら言ってね。君の強みというのは、君のパーソナリティと、参加者とのコネクションだと思うんだ。参加者への気遣い「ケア」と、コネクション、この2つが強みだと感じてる。だからこのケアとコネクションを引き続き行っていけば、君は君らしくクラスを行えると思う。君の好きなキーエレメントは何かな。
マイ:コネクションです。
ダン:僕はマーシャルアーツを経験してからこの世界に入ってるから、僕の2つの強みはコーチング(エジュケーション)そしてテクニックだと思ってる。そして一番低いと自分で評価していたのはコネクションなんだ。一番うまくできなかったんだ。コネクションのやり方が分からないとかそういうことじゃないんだけど、僕の経験上マーシャルアーツではやっぱりエジュケーションとテクニックを重視していたからどうしてもそっちの方が得意だったんだ。だから一度、「コネクションとは」という事を考えたんだ。人を称賛すること、サポートすることとは何を意味するか。そしてたどり着いた答えは、コネクションはエデュケーションと全く同じなんだ!ということだったんだ。誰かにどうやって動くかを教えるとき、まず自然に基本を教えるよね。それを徐々にレベルアップして教えていくステップの中で、僕はパーソナルトレーナーのように「いいぞ、その調子」とか「よくできたね」と声をかけていた。さらにはチャレンジキュー「君ならもっと出来るよね」とか「僕がサポートするからもっとやってみよう」、「1人じゃないんだ、僕たちで一緒にやり遂げよう」と自然に言ってたんだ。僕がやったことは、エデュケーションという強みを活かしてコネクションをとること。だからマイ、君はコネクションという強みを使ってテクニックとコーチングを増幅することにチャレンジしてみて。君は参加者を見てサポートや手助けをし、ケアされていると感じさせることが得意なんだと思う。参加者が君と繋がっていると感じさせることが出来る。だからそれを逆手に取ってみよう。例えばこんな風に話してみよう「Heyゆかり、今のパンチ凄いいい感じだったよ、上手く動けてる!僕からのチャレンジは、20秒後に次のムーブを行うとき、全力でこれに挑戦してみることね!君なら絶対に出来ると信じてるよ。僕は君の可能性を信じている。これは僕と君とのチャレンジだ!準備はいい?あと10秒でチャレンジが始まるよ!」(興奮しながら)こんな風にコネクションを使いながら、モチベーションを上げることが出来るんだ。ワカリマシタカ?(笑)だから、「どうやったら私らしいクラスが出来るんだろう」と考えるとき、自分が好きなことを考えてみてごらん。
教えて。コネクションが一番の強みだと言ったけど、どんなことで繋がるのが好き?何と繋がることが好き?クラスでのシチュエーションの事を考えてみて
マイ:昨日担当したレッスンで、結構楽しめの曲をやったんですけど、前にジャブして出る動きの時にお客様がテンションが上がって自分と同じラインまで出てきて、なんていうんだろう、一緒にやる!という感じがすごい表れているのを感じれるのが好きです。今、コロナの関係で背面でレッスンをしているんですけど、たまに対面で振り返ったらニコってしてくれたときに「いい笑顔ですね、その笑顔キープしましょう」みたいな感じでアイコンタクトを取って伝えたら、レッスンの終わりに「今日楽しかったよー」と言ってもらったときとか。
ダン:グレートアンサーだね(グーのポーズ)今から言うことを書き残して欲しい。君はたくさんの事でコネクションをとることが出来る。
音楽
参加者
環境 スタジオの規模、鏡が有無、ステージがある?ない?
視覚 目に入る情報。新しい人はいるか、常連さん、いつもユニークなことをする人がいるとか。
聴覚 聞こえてくるもの
言葉 口から発する言葉
さらに僕たちはフィーリングで繋がることも出来る。これは内外的どちたでも可能なんだ。内因的な要素では、感情で共感することが出来る。頭で考えていることや、心で感じていること。または、外に目を向けて、雰囲気でフィーリングを共有することもできる。部屋の熱気だとか、エアコンの空気、参加者の汗が飛び交ってたり、様々な要素があるよね。だから僕の「コネクション」に対する考えはとても深いところにあるんだ。なので僕は人に想像してほしいことや、感じてほしいことを頭に映像化しさらに言葉でも発することが出来るんだ。同時にその反応を視覚的情報でキャッチすることもできる。わずかに動く表情筋や、音で反応を読むこともできる。更にはフィーリングについて話すこともできる。「今心拍数が上がってきて、筋肉が悲鳴を上げている、もう止めたいという気持ちに負けそうになっている」実際自分が感じていることを言葉で参加者に言うことだってできるんだ。だって、マイがそれを感じているのであれば、スタジオの中に君と同じ気持ちの人が絶対いるんだから。そうやって自分自身と周りとのコネクションに意識を向けることでよりマイは自分らしくクラスを行うことが出来ると思う。
マイ:私は格闘技というものに一切かかわったことがなかったんです。ずっと水泳をしていて。なので大学入ってからこのBODYCOMBATを始めたから、意識していないとどうしても(コネクションを)ちょっと置いていくという面があるんです。意識してしゃべろうとしてるけど、「格闘技の何かをいわないと」という考えで一杯になってるとたまにコリオ飛んじゃったりする時もあって(笑)やっぱ練習かなーとは思いつつ・・・(笑)ある意味私のチャレンジです(笑)
ダン:じゃ、僕からのチャレンジを言うね。話を聞く限り、君は君らしいクラスをもうすでにやっているように思えるんだ。背面指導の時に感じたコネクション、そして振り返ったときに感じたまた別のコネクションの事を話してくれたけど、君はそれをコリオをやりながらそしてテクニックを行いながらやり遂げた。だから君にはほかの事を出来る余力はあるってこと。そして、よりその他の事に意識を向けられるようになればなるほど、君は自然と自分らしくクラスを行えるようになると思う。考えてみて。その前に、君は水泳大会とか出場していた?
マイ:はい。(クロール)
ダン:OK。君は大会に向けて、1人プールで時間を掛けてもくもくと練習したよね。クラスを教えることとプールでの練習を重ねてみてみよう。君はクラスを教えていないときでも、クラスを教えるときの事を考えるよね。大会も同様に、実際プールの中にいなくても頭の中では大会の事を考えるよね。僕たちは常に顕在意識(表面意識)と潜在意識(無意識)が混在しているんだ。なので僕から君へのチャレンジはこれ、「無意識を信じなさい」やるべき練習をやっていれば、身体は勝手に動く。大会で水を切るとき、身体はどういう動きをすればいいか分かってるから自然に動くよね。BODYCOMBATでも同じ。肩を左右に動かすことでパンチが出せる。腰の動きを使ってキックを打つ。そういう風に練習をすればするほど君は無意識を信じることが出来る。意識というのはとてもパワフルな存在なんだ。体は自然とそれに合わせて動くだけ。だから身体が自然に動いていけば、君はより周りで起きていることに意識を向けることが出来る。何故ここで参加者の表情の違いに気づいたのか。何故このタイミングで特定の参加者が発することに耳を傾けたんだろう。そして何故今自分が感じていることを感じることが出来るんだろうとね。それに意識を向けることが出来るようになった瞬間君のコーチングは爆発的に飛躍するよ。そしてそれこそが僕と君の違い。それだけ。僕は物事に対して「なぜ」それを行っているかに忠実に意識を向けている。歌っている時、スクワットをさらに低くしたとき、参加者に向かって笑顔を向けるとき、僕は全て次のことを理解した上で行っているんだ。「いつ」「どこで」「どのように」そして「なぜ」。君は「エクスターナルオブジェクティブ(外的目的)」という意味を知ってるかな。
東井ヘッドトレーナー:ブロックごとに参加者に得てほしい結果(こうなってほしい)を考えてから、こういうことを言おうと考えるコーチング方法のことだよ。
ダン:インストラクター歴関係なくこの概念をもってコーチングを考えることは可能だよ。例えば、コリオに12回のジャンプニーがあるとしよう。もちろん参加者は初めて聞くリリースだからまだそれを知らない。この時の僕が思う外的目的は、誰もが回数関係なくこのジャンプニーで最高の達成感を感じること。その為には何をすればいいだろう。「全力で頑張って」だと、出来ない人の横で12回ジャンプニーしてる人がいたら劣等感感じるだろうし・・・全員がどうやったらそれぞれ達成感を味わうことが出来るかな。ふむ・・・(ひらめいたしぐさ)分かった。こうしよう!クラスの冒頭、ウォームアップから、オプションを紹介し、それが誰ものためにあるという事を伝えること。だからメッセージ性に気を配る。聞いた人が不快にならないように。オプションを選ぼうが選ばなくてもどちらの行動にインスパイアを受けられるようにする。だからもしジャンプキックをやってるとき、僕はあえてステップキックを行いそれを最高にクールなものに見せるんだ。あまりにもクールすぎてクラスの85%くらいの人が実際の動きじゃなくてオプションを選ぶくらいに仕向けるんだ。トラック3では、ジャンプとパンチを出来るだけ遠くへ行うということがフォーカスだったとしよう。でも僕はあえてジャンプの代わりに歩いてみせる。意図が見えてきたかな。こうやって徐々にクラスの雰囲気を変えて、誰が何をしようとそれで正解なんだという事をみんなの脳に植え付けているんだ。「オプション」ではなく「別の動き」という考え方に変えたんだ。そうすることで参加者のみんなが居心地よくクラスで動くことが出来るんだ。だから実際最後のジャンプニーに差し掛かったとき、僕はみんなに「1回でも出来たみんなは最高!え、君12回もできたの?!今度僕にやり方教えてよ!」とても包括的でクラスに一体感が生まれるんだ。これを良く「テクニック」だと勘違いする人がいるけど、実際にはコネクションなんだ。マイの得意分野だよ。僕は周りで何が起きているか、そして自分が何をすべきかに常に意識を向けている。そこに更に外的目的を加えることで全てはパズルのピースのようにきれいにはまっていくんだ。コリオさえ分かれば、後は簡単だよ。まずそこが大切。コリオは基礎。
マイ:テーマ3:コリオの覚え方。参加者のエネルギーの上げ方。
ダン:参加者のエネルギーの上げ方についてだけど、僕はやっぱりモチベーションとコネクションが鍵になっていると思う。参加者との繋がりを強くすればするほど、彼らのエネルギーレベルを変えることが出来ると信じている。そしてエネルギーのレベルというのは必ずしも大小サイズは関係ないんだ。エネルギーが一定という事もあり得る。エネルギーを上げるという事はすなわちその参加者がより全力で動いたり一所懸命にならないといけないことになる。そうすると早い段階で疲れてしまう。だからこれが正解!というものはないんだ。この質問にはさまざまな考え方や答えがあると思う。
スタジオのこっち(右を見て)にいる人達は、レギュラーメンバーで運動も定期的に行っている。そしてこっち(反対側を見る)には初めてクラスに来た人たちがいるとしよう。僕はそれぞれのグループに対して適切なモチベーションとコネクションを与えることが必要だと思う。こっち(右)の人達は、チャレンジが欲しいのかもしれない。クラスにいつも来ていて、コリオグラフィーも知っていてテクニックも備わっている。なので、僕はそんな彼らにチャレンジを与えるんだ。もっと早く走ったり、もっと高くジャンプして、パンチを素早く打ってなどと伝えたり、そんなチャレンジをあげるんだ。でもこっち(反対)の人達に対しては、賞賛やレコグニションでコネクションを図るんだ。「いい感じ!そのまま続けてみて」、「ここで頑張ったらより大きな結果を得ることが出来ます」こうやって人によってそれぞれ必要な情報を提供するんだ。このようにしてエネルギーを上げることが出来る。僕はどちらかというと、全体のエンゲージメントを上げる、という事に注力するかな。どうしたら参加者がもっとエンゲージしてくれるかなと。
じゃあ、続いてのコリオの覚え方についての質問。逆に君はどうやってコリオを覚えるのかな。
マイ:音楽を聞いて、雰囲気をつかんで、ビデオ見て、ビデオ見ながら2回目にコリオの回数チェックを行います。感覚がつかめてきたらコリオノートを見ながら実際に動いてみます。
ダン:鏡は使う?
マイ:はい
ダン:素晴らしいやり方だと思うよ。僕がミックスクラスやこの前のようなライブイベントの時に既存のコリオに対して「あれ?コリオなんだったっけ?」となったときの覚え方を教えるね。まず最初に、マスタークラスのビデオを見る。ビデオを見ながら、音楽を聴いて、コリオがどんなだったかを思い出す。同時にノートをとるんだ。再度コリオを覚えなおし、そしてその時に感じたコーチングコンセプトを書き出すんだ。「遊び心」とか、「アジリティ」「強度の4ブロック」とかね。なんでもいいんだ。だから僕はコリオを「見て」、コーチングコンセプトを「聞いて」、そしてトラックが何故このように構成されていたかを「理解」する。そうやってフォーカスを見つける。その後は、ビデオは見ずに音楽だけを聞くんだ。音楽だけでコリオを思い出せるか試すのさ。僕は1つ前の工程で、潜在意識として脳にコリオそしてコーチングのコンセプトをインプットしたんだ。トレーニングのコンセプトや僕とレイチェルが冗談を言ってた事など、記憶を呼び起こすようなものをピックアップしてるんだ。こういうことが脳の中では無意識に起こっているんだけど、僕は音楽を聞きながらコリオのチェックを行ってるんだ。そして音楽を聞きつつ鏡を見ながら動きの確認そしてキューのタイミングを確認する。ここまでで2つの工程があったね。それが出来たら、またビデオに戻るんだ。今後は見るだけじゃなくて実際に声を出してキューを合わせてみるんだ。ビデオの中の自分と同じことを言えてるかの確認をするのさ。コーチングスクリプトとかを覚えているかなと。役者みたいな気分だよ。ここまで来たら頭に十分に記憶が出来ている状態。最後にもう一度だけ鏡の前に戻り音楽だけで同じことを行う。でも今回は、マスタークラスの時の情景を頭の中で思い描くんだ。その時目の前にいた参加者たちや、ステージに立っていた他のプレゼンターなど。部屋にはカギをかけて自分一人の世界を作り、音を最大まで上げるんだ。そして実際に大きな声でキューもいう。鏡が参加者だと思って大きな声で「カモン!君なら出来るよ!」というのさ。変かもしれないけど、鏡を応援するんだ。そうやって練習した後にクラスに臨むんだ。
僕のクラスは17時からなんだけど、15時からこの準備を行うんだ。2時間たっぷり時間を費やしてその当時の記憶に没頭するんだ。そうすることでクラスに臨んだとき、さっき頭に詰め込んだコリオという感覚ではなく、長年このコリオを教えてきたかのように感じるんだ。実際には2年のブランクがあったとしてもね。でも感覚としては、レギュラーレッスンみたいに馴染んでいるんだ。とても長いプロセスかもしれないけど、僕にとってはプロフェッショナルで必要なものだと思ってる。だって僕のクラスに参加するメンバーは会費を払ってきてくれている。僕もそれに全力で最高の物を提供したいと思っている。
役に立ったかな?(笑)
マイ:はい!とても。
ダン:これで質問には全部答えたけど、他に聞きたいことはある?
マイ:新しい発見が多すぎて、なんかもう(笑)今までやってきたリリースで一番好きなトラックは何ですか?
ダン:正直お気に入りなトラックはないんだ。お気に入りのプロセスはあるけどね。僕はBCリリースをトラックとして見ていなくて、好きな動きやトラック、コンビネーションとかそういう風に考えたことはないな。でも一番記憶に残ったプロセスとして考えている。そして多くの事をやってきた中でも記憶に強く残ってるのは、当時新しい試みで初めてということもあってリリース80かな。初めてニュージーランドの南にある島での撮影だったんだけど、その工程そのものがとても新鮮だった。山の中、湖の上での撮影。ヘリコプターじゃないといけない秘境だったし。崖の上でも撮影した。もうその時のことがとてもユニークで新しかった。
僕はね、たくさんのシークレットがあるんだ(笑)まぁ全部が全部秘密じゃないけど、僕の大好きな事の一つは大自然なんだ。とにかく冒険好きでアウトドア派なんだ。僕の家は森の中にあるくらい。外に出れば周囲40キロくらいの森に囲まれてるんだ。プライベートな空間でとても穏やかで心安らぐんだ。だから僕は自然やその雰囲気が大好きで、自然との深いつながりを感じるんだ。それもあって、あのプロセスはいつもと全く違う経験だった。もちろんカメラに向かって撮影している時も普段通り参加者がいることを想像できたんだけど、「このマスタークラスを見た人は何を見て感じとるだろう」という考えの方が強い思いとしてあった。君もBC80見たと思うけど、初見では、外でドローンを使っての撮影、湖の上にステージがあっていつもと全然違うなと感じたと思うけど、でも2回目、3回目と見ているうちに君もきっと、カメラがズームインしたとき映る僕とレイチェルが周りの大自然と調和している雰囲気に気づいてくれたと思うんだ。その時僕たちが感じたこと。当時は雨や雪が降ったり、ステージがとても滑りやすかったり。僕たちの靴から水しぶきとか見えたでしょ?
そしてもちろん、リリース80には素晴らしい音楽やコリオもあるしね!もしBC80で1つ好きなトラックを教えて、という事なのであれば。。。「Sally」だね(プッシュアップの動き)いい音だし、歌詞に合わせて動きを合わせないといけなかったのが面白かった。だからもし歌詞がリピートし続ける日本の歌を何か知ってれば是非教えてほしい。4か8カウントのもの。教えてくれたら次回のリリースで使えるか見てみるから!英語と日本語の歌詞が混ざってる歌とかもいいね。またサリーのような歌をやりたいんだけど、なかなか良い歌に巡り合うことがなくて。そんな歌に出会うのはすごく難しいんだ。
今日は僕と話すために時間を作ってくれてありがとう。またね!
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砂子 麻依さんは、フィットネス&スパ ヘミング伏見でインストラクターとして働き、BODYCOMBATのレッスンを担当しています。
セッションを終えての感想
ダンとのセッション後は自分のクラスをより楽しく効果的にするためにはまず何を自分がすればいいかのビジョンがかなり明確に見えました。クラスではキューイング方法を少し変化させたことで今までやってた曲でもお客さんの息の上がり方、笑顔など表情の変化が少しずつですが、クラスの変化を実際に感じることができています。これから今まで参加してくださっている方はもちろん、1人でも多くの方にボディコンバットを楽しんでいただけるよう自分自身レベルアップに向けて頑張ります!