「出産後のフィットネスは予想外でした」

「正直なところ、私の妊娠中や出産後のフィットネスは計画通りにはいきませんでした」、とディー・ローウェルは言います。彼女にとって、妊娠後のフィットネスへの道のりは予想外で、多くを学んだ機会になりました。

LES MILLSのプレゼンター、またトレーナーとして、フィットネスはあなたの人生にとって大きな部分を占めていますよね。妊娠前はどのような生活を送っていたのでしょうか?

「2年前は全く違っていました。娘のベラを妊娠する前、私はかなりの運動をして、健康体でした! 私は看護師としてのシフト勤務や、四半期に一回行われるLES MILLSのマスタークラスフィルミング、Les Mills Asia Pacificのインストラクターワークショップの提供、週に3、4回のRPMのレギュラークラス、そして自分自身のトレーニング(長距離のランニングを含む)を行っていました。間違いなく、これまでで最も健康な状態でした。しかし、それは妊娠してすぐに変わりました。

私は間違いなく、これまでで最も健康な状態でした。しかし、それは妊娠してすぐに変わりました。

実は、初めて妊娠したのは2020年の1月なのですが、残念ながら流産してしまいました。流産は辛いですね。その後、間も無くニュージーランドでフィルミングに参加しました。妊娠初期の頃で、まだ体調も良かったのですが、撮影は本当に大変なものでした。当時の私は赤ちゃんを亡くしたことで、疲労感や喪失感に伴う感情的なものへの対処など、まったく新たな境地へと突入していました。ラッキーなことに私はすぐにまた妊娠しましたが、この2人目の妊娠は少し後ろ向きな気持ちでスタートしたように感じました。流産で気持ちが滅入っていたため、しばらくトレーニングもしておらず、最初から肉体的にも精神的にも疲れを感じていました。

妊娠中、健康で活動的であり続けることは、あなたの計画の絶対的なものだったそうですが、実際はどうだったのでしょうか?

妊娠中の運動がいかに大切か分かっていたので、私は健康で活動的でありたいと思っていました。ですが、(流産は運動が原因ではないことは分かっていながらも)、少なからず警戒はしていました。私は低置胎盤だったので、胎盤が剥がれる危険性があるため、運動には本当に気をつけるようにと言われていました。

ランニングはやめましたが、サイクルクラスは続けていました。私にとってコロナはタイミング的に恵まれていたと思います。クラブが休館していたので、クラスやフィルミングなどの心配をする必要がなかったのです。私はLES MILLS+(オンラインワークアウト)を始め、主にRPMTHE TRIPBODYBALANCEを受けていました。BODYATTACKは妊娠2ヶ月目までやっていましたが、骨盤が少し正常な位置に感じられるようになったので、控えました。

看護師としてフルタイムで働くことで、健康も維持されていたのですね

私は「腎臓病棟 」と「一般内科 」で働いています。慢性疾患が多いため、マニュアルな作業も多く、とても忙しいです。急性期の患者を相手にしますし、コロナ禍はさらに常に緊張感が増して、ストレスも感じました。最前線で働くと同時に、自分の赤ちゃんを守れるかどうか、とても心配になりました。仕事はきついシフトが多く、弱気にもなり、いつも疲弊していました。

以前のようにトレーニングができないことを受け入れるのが、本当に大変でした。特に病院でのハードな1日の後、ランニングやBODYATTACK、BODYCOMBATで自分を追い込むことで得られる開放感や爽快さが恋しくなりました。

特に病院でのハードな1日の後、ランニングやBODYATTACK、BODYCOMBATで自分を追い込むことで得られる開放感や爽快さが本当に恋しくなりました。

妊娠中はトレーニングを大幅に減らしていたにもかかわらず、出産時はかなりの体力があったそうですね。ですが、トラウマになるような出来事があったとか?

陣痛は人生で一番大変なことでしたが、同時に素晴らしいものでした。

出産時、私は大量の出血をしました。私も赤ちゃんも、ほとんど助からなかった可能性があるくらいだったそうです。とてもトラウマになるような出来事でしたが、私の体は驚くほどすぐ回復しました。輸血も何も必要ありませんでした。出産から12時間後には自分の足で歩いて、別の階にいる赤ちゃんに会いに行くことが出来ました。お医者さんにも「あんなことがあったのに、とても早く回復しましたね」と言われました。自分が健康であったことに感謝しています。それは間違いなく助けになりました。

フィットネスへの復帰も計画通りにはいかなかったのですか?

産後6週間の検診から、すぐに運動を再開する女性もいるそうですが、私にはそれは無理でした!そんな自分を受け入れるのが最初は辛かったです。予定では、医師から許可が下りて、好きなクラスに戻れると思っていました。もちろんクラスをやり切る体力はないことは自覚していましたが、復帰してすぐ体力を戻せるだろう、という期待もありました。ですが産後5週目に、復帰はまだ早いと確信しました。それを考えた時、恐ろしくなりました。私の「6週間でシックスパック」の予定はまだ先のことなのだと悟りました。

かなり個人的な話ですが、私は自分を曝け出して、本当のことをみんなに知ってもらいたいと思いました。私のように妊娠前に超健康体だった人間が、スーパーウーマンのようにそのまま立ち上がることが当たり前なんて思われたくないんです。私の経験はそれとは真逆だったのだから。

フィットネスに復帰できないという挫折は、私の療養生活の中で最も辛い経験でした。私はそれに抗わず、冷静に受け止めました。専門家の助けを求め、一緒に最良の方法を模索しました。最速ではなく、最良の方法で。新米ママは、是非理学療法士のサポートを得ることをお勧めします。特に初めての子供の場合は、何が正しいなんてわからないのだから!

自分の体やフィットネスに満足できるよう、どのように考え方を調整してきましたか?

(取材当時)産後11カ月になりますが、まだ元の状態に戻っていません!でも気分はとてもいいんです。私の体は人間を作ったのだから。私の体は以前と同じように見えたり、同じように機能したりすることはないかもしれない。

いずれは昔のように動けることを願っています。しかし、私は自分に時間を与え、自身が経験してきたことに感謝することを約束しました。見た目が美しくなりたい、などのゴールはなく、私はただ、健康で強くありたいと思っています。

緊急手術(子宮内の胎盤を取り除く手術)とその後の鼠径ヘルニア(脱腸)で、体幹と骨盤底筋がかなりやられてしまいました。そのため、体幹が弱くなったと感じています。私の目標は、とにかく強くなること。それ以外の身体的効果はおまけです。

現在の運動習慣は?

ピラティスをたくさんやって、体幹の深い筋肉を鍛えることに取り組んでいます。ゆっくりとした動きをすることに、新たな価値を見出しています。以前は、飛び跳ねてばかりのカーディオ大好き人間でした。今は、ゆっくりとした動きで、より強さに集中することが大好きです。BODYBALANCEが大好きになり、家ではTHE TRIPをやっています。そして最近、ライブでRPMのクラスを教えるようになりました。

復帰後の初クラスはいかがでしたか?

死にそうでした!最初のRPMクラスを教えるのは、本当に、本当に大変でした。でも、「fake it till you make it (上手くいくまで出来ているフリをする)」というアプローチを取ることにしたんです。ハードでしたが、レッスンを重ねるごとに、少しずつ楽になってきました。次第に体力も回復してきたように思えます。

また、初心者の方や、ケガや病気から復帰された方にも、より参加しやすい環境作りも心がけるようになりました。長い間教えてきたので、初心者の気持ちを忘れていたんです。今回の体験で、初心者の気持ちを思い出すことができ、その結果、クラスの教え方も少し変わってきました。

これから数ヶ月で、少しずつ担当クラスを増やしたいと思っています。でも、自分の体の声に耳を傾け、自分にプレッシャーをかけ過ぎないようにします。

そして、他の女性たちにもそうしてほしいと願っています。出産後、すぐに復帰しないといけないプレッシャーを感じる必要はありません。妊娠から産後まで、私たちの旅路はすべて異なるのですから、時間をかけて自分が正しいと思うことをすればいいのです。

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