夜はインストラクターに「早替わり」:パート2

多くのインストラクターは、グループフィットネスのインストラクター以外の顔も持ちあわせています。クラブメンバーのための素晴らしいワークアウトを提供するだけでなく、女優、警察官、気候変動活動など様々な分野で活躍しています。そんなインストラクターたちにインタビューをしました。

ブロンテ・テレール(英国)

女優/グループフィットネスマネージャー/BODYPUMP, LES MILLS GRIT, LES MILLS CORE, RPM, LES MILLS SPRINT

演劇を学ぶために専門学校に通っていたとき、母は私にグループのサイクルクラスに参加することを勧めました。クラスを担当していたヴィッキーのおかげでプログラムに惚れ込み、私はインストラクターになりました。様々なインストラクターのクラスを受けるうちに、彼らにできるなら、私にもできるかもしれないと思うようになりました。また、インストラクターという職業は、女優の仕事とうまく両立できるのでは?とも考えました。俳優の卵の内、99%は仕事に就いていない、といつも聞かされていたので、グループフィットネスクラスを教えることは、女優の仕事の合間の収入源になると考えたのです。

2021年にグループエクササイズのマネージャーになって間もなく、イギリスのドラマ「Hollyoaks」に出演することになリました。自宅から何百キロも離れたトレーラーハウスで番組のセリフやクラスの振り付けを覚えながら、クラブのタイムスケジュールを遠隔で更新をしないといけなかったので、控えめに言ってもとてもチャレンジングな日々でした。

演技とインストラクター指導には、多くの共通点があります。ひとつがキーエレメントでもある「パフォーマンス」です。これは、コーチングを覚えることや舞台上で自然な演技をするといった「訓練」から生まれます。早々にそれは身についていき、今ではごく当たり前なことになりました。

もうひとつは、「コネクション」です。参加者がクラスでインストラクターに求めるものであり、パフォーマンスにつながるものでもあります。そしてもちろん、どちらも私にとって同じくらい大好きなことです。

グループエクササイズの内でも特にBODYPUMPにおいて私が最も好きなのは、プログラムの持つ包括性です。人種、経歴、民族など、さまざまな立場の人たちが同じ音楽で一緒になって体を動かすことは素晴らしいことだと思いますし、私の心を幸せで満たしてくれます。

私は、自分が好きなことをすることが大切だと思っています。私がすることはすべて、私の価値観や人間としての信念に沿ったものであり、何よりも喜びをもたらしてくれるものなのです。

クリスティン・ウィリアムス(オーストラリア)

気候変動活動家/BODYPUMP

私はオーストラリアに拠点を置く自動炭素会計会社、Evalue8 Sustainabilityでデータ研究科のチーフを務めています。Evalue8 Sustainabilityは、温室効果ガス排出量とエネルギーコストを節約する方法を組織に提案し、彼らの報告する排出量を立証するための監査証跡を提供しています。

私は1996年に腰を痛め、まともに歩くことができなくなりました。回復には1日6回、10分間の理学療法によるエクササイズを1年半かけて行いました。1999年に首都のキャンベラに引っ越し、初めてジムに通い始めた際にBODYPUMPには理学療法で学んだエクササイズが多く含まれていることを知りました。

エクササイズを理学療法からBODYPUMPに変更したことで、心理的にもポジティブな変化がありました。グループフィットネスクラスで運動することで、自分に欠陥があるという考えから、普通だと思えるように変わりました。病気や怪我、障害によって他の人が当たり前にできることができなくなった経験を持つまで、障害を持つことで特別扱いされることでの疎外感に気づきませんでした。

インストラクター業を通して初対面の人と打ち解けるスキルが上達し、本業にも役立っています。私の仕事は、スキルや知識を身につけることで、人々が変化を起こせるようにサポートすることです。新しいインフラやエネルギー効率に投資する前に、顧客に選択肢を提示できれば、温室効果ガスの排出量と組織のコスト構造の両方に長期的な影響を与えることができるのです。

また、本業があることで、メンバーは「私」という人間に共感してくれます。私は典型的なフィットネスインストラクターとは違います。57歳で副業を持つ5人の子ども(末っ子は11歳)の母親です。仕事、家族、社会的責任、そして自分自身の健康と、全てのバランスをとることの難しさは理解しています。私たちは皆、一日一日を大切に、その日その日でベストを尽くしているのです。

私が教えることで好きなのは、スタジオには誰にでも居場所があることです。クラスを担当して学んだことは、フィットネスは25歳以下の健常者だけのものではない、という認識です。フィットネスは一生必要なものなのです。グループフィットネスインストラクターとして、私は人々が強くあり続けるための手助けをし、それが彼らの周囲の人々の支えとなるのです。

デボン・ザニン(米国)

警察官/BODYPUMP, BODYATTACK, LES MILLS CORE, SH’BAM

犯罪は昼夜問わず起こるので、警察は24時間働いています。ニューヨークの警察官の1日は、肉体的にも、精神的にも、とても厳しいものです。犬が脱走した、配偶者と喧嘩をした、銃で撃たれたなど、どんなことでも通報に応じます。状況に応じて誰かの命を救い、誰かを逮捕しなければならないかもしれません。何が起こるかわからないからこそ、万全の態勢で臨まなければならないのです。

インストラクターであることは、間違いなく私の本業に役立っています。体力や持久力、そして毎朝出勤前に「私はできる!」と言える自信がつきました。私のクラスは、心身の健康にもつながっています。つらいことがあった後にクラスでメンバーの笑顔を見ると、何度気持ちが楽になったことか。

2年前、私とパートナーは殺されかけたことがあります。容疑者の男性に待ち伏せされ、刺されそうになりました。その時のことをあまり詳しく覚えてはいませんが、私は瞬く間に凶器を払い除け、相手に立ち向かったそうです。もし、私がこれほど強く、自信を持っていなかったら、結果は大きく変わっていたかもしれません。生きて帰ることができたのは、長年にわたる一貫した訓練、Les Millsのクラス、自分を信じること、そして決してあきらめない心のおかげだと思っています。

リサ・フォレスター博士(オーストラリア)

司法精神医学者・心理学者BODYCOMBAT, BODYPUMP

高校時代は刑事専門弁護士になりたいと思っていましたが、時間が経つにつれて、法律そのものを理解するのではなく、人が「なぜ」法律を犯すのかを理解したいと思うようになりました。 高校を卒業すると、心理学の勉強を始めました。そして9年後、心理学と法律学の二専攻で行動科学の学士号(優等学位)を取得し、その後、臨床心理学の博士号を取得しました。現在、臨床心理士および法医学者として約20年となり、現在は、メルボルンのChildren's Court Clinicでクリニック・ディレクターとして働いています。

刑事部門では、若い犯罪者の動向を調査しています。彼らは時に拘留され、トラウマ、家庭内暴力、薬物使用、精神衛生上の問題、行動上の問題、低レベルの教育関与、地域社会からの孤立などを特徴とする、難しい事情を持っていることがよくあります。

生活安全部門では、虐待やネグレクトの疑いで児童保護制度に関わる家庭の、非常に複雑で包括的な分野を担当します。こうした家庭の多くは、家庭内暴力、親の精神衛生上の問題、親の薬物・アルコール使用の問題、トラウマ、不適切な育児習慣など複数の問題を抱えています。

私は本業において、精神的に疲弊することが多くあり、またコンピュータの前に座っている時間も長いです。インストラクターになることは、本業以外にもさまざまなメリットをもたらします。まず、健康的な体を維持することができます。体を動かし、強い気持ちを保つことができます。 クラスを担当しない日でもトレーニングをして体調を管理します。教えることで得られるもうひとつの大きなメリットは、精神的な健康です。一日の大半を深刻な問題や難しいテーマに取り組むことに費やしているので、クラスを教えることで緊張がほぐれ、少し気が楽になるのです。これは間違いなく私のストレスマネジメントの一環です。まったく別の人格になりきって、日頃のことを忘れ、人々とつながり、歌い、楽しむことができるのです。

心理学者であることは、インストラクターとしてさまざまな点で役立っています。 一番の利点は、メンバーとつながり、関わることができる能力です。クラスによって、メンバーとの関係を築くためにさまざまな戦略を用いることができます。また、心理学者であるために、運動が身体的・精神的な健康維持に果たす役割を理解し、運動の利点についてさまざまな形で話すことができると思います。クラスに参加することが社会とのつながりや帰属意識を高めることにつながるメンバーもいることを理解しているので、心理学者としてのスキルを活かして、クラスのさまざまな個性に対応するよう心がけています。

クリステン・ジョイアル(米国)

テレビマーケティングディレクター/RPM and LES MILLS SPRINT

私は20年以上テレビ界に身を置いています。深夜番組のトピックプロデューサーからゴールデンタイムのプロデューサー、シニアプロデューサー、そして最終的にはクリエイティブサービスディレクター/マーケティングディレクターへと昇進してきました。アメリカ全土で仕事をしてきましたが、現在はフロリダを拠点に活動しています。

人前で話すことに自信を持ちたいと思い、インストラクターになりました。以前は10人以上の前で話すと緊張していたのですが、認定取得後は30人のクラスでもモチベーションを高めて指導できるようになりました。話し方も変わり、より物事を強調し簡潔に話す方法を学びました。SPRINTのフロアコーチングは、オフィスでチームを率いる際、一人一人にアプローチし、その人のモチベーションを高めることに役立っています。また、当時は離婚手続きの途中だったのですが、SPRINTとRPMの指導で得た強さによって、安全で、力強く、気分を引き立たせるための出口を見つけることができました。

私は12年以上にわたり、グラフィックアーティスト、プロデューサー、フォトジャーナリスト、編集者を取りまとめるリーダー的な役割を担ってきました。私たちは、フロリダ州ジャクソンビルのNBCやABCといった人気テレビ局を宣伝するために、記憶に残るようなマーケティングキャンペーンを企画、撮影、編集まで行なっています。私のチームは、今年のエミー賞3部門にノミネートされたほか、マーケティング業界の賞をいくつか受賞しています。

教えることは私に喜びを与えてくれます。パンデミックに見舞われ、1年間教えることができなくなるまで、教えることがどれほど自分の人生にプラスになっているかまったく気づきませんでした。パンデミックの間、私は毎日アパートの一室でサイクルプログラムのリリースを学ぶことに注力しました。運動自体は楽しかったのですが、ライブレッスンの爽快感や、汗だくの笑顔を見ながら仲間と会話できていた環境が恋しかったです。

また、教えることで生まれるコミュニティー感も好きです。私はメンバーやインストラクターとたくさんの友情を育んできました。Facebookグループで知り合ったオーストラリア在住の人たちとはオンラインでしか会ったことがありませんが、いつか実際に会ってみたいと思っています。