LES MILLS GRITでのLMQにおいてレベル10を獲得した感想を教えてください。
まず素直にうれしいです。
これまでがんばってきたことを評価してもらえるという機会をもらえて、(レベル)10という評価をいただけたことが本当にうれしいです
特にGRITは日本に導入する時から携わらせていただいていたので、その中でこういう形を残せたということが本当にうれしいです
あとは、レベル10というマックスを得たってことによる、では次にどうしていこうかなという、ちょっと寂しさを感じているところもあるのが本音ですね
グレード、レベルで評価される経験はどのようなものでしたか?
インストラクター、トレーナーと色々経験させてもらっている中で評価を受ける、特にレベルをつけてもらうという機会は今までなかったので、それに対するザワザワ、そわそわ、色々な気持ちを持った上で、ビデオ撮影、提出、結果をもらうというステップを踏ませてもらいました。まず撮影に関しては、やはり、意識をしてしまうので、普段らしさをどうやって出そうかと、逆についつい、いいようにやろうとしすぎてしまって、普段とちょっと違うようなことをやりそうになったり、色々とウロウロしながらクラスの撮影をしたのを覚えています。
その中で結局、一番自分らしく自然な状態でクラスを撮るのが一番だと挑んで撮ったのが一番いいクラスだったので、それを提出させてもらいました。それを評価してもらえたことはうれしいです。
ただ、結果をもらうまで、もちろん人間ですし、いい数字を出したいというレベルという数字に目を向けていたのですが、結果的に成長フォームという評価表を見ると、各キーエレメントごとに、ここが良かったとか、またここをどうやって今後伸ばしていきますか、というのが、すごく具体的に書かれていて「10や!」っていうところに目がいくよりも、それぞれのコメントにすごい目がいってキーエレメントごとの自分のやってきたことと、これからもっとこうしてみたいなということが具体的に考えられるように設計されていたので「そうか、10か」というのを後から思うくらい各エレメントの方に意識がいきました。レベルをつけられたっていう感覚よりも今までの道への評価と、これからの伸びしろをどうしていきますかっていうのを尋ねられているような感覚になる、すごく面白い今後にワクワクできるようなものを得られたという気持ちがありましたね。
LMQでは各エレメントにおいてグレード1~3(コリオグラフィーは2まで)を付与し、コメントが記載されますが、ご自身で思っていた自分のクラスの評価ともらった結果にギャップや気づきはありましたか?
これがね、とっても面白いんですよ。僕自身がインストラクターやお客様から評価していただけるところはテクニック、フィジカル、身体能力から生まれるパフォーマンスなどが多かったのですし、GRITのフィルミングに出演したときも海外プレゼンターから評価してもらうことも同じ部分が多かったので、自分自身、それが強みになるだろうっていう思いでクラスを構成したり、撮影をしようと思っていたんですけど、自分のビデオを見直したときに「なんか、テクニックそんなに強みじゃないな」と思って。どちらかというと、コーチングが意外に強みに感じて、今まで積み重ねてきて「ああじゃない、こうじゃないって」一番意識してきたのがコーチングだったので、そのコーチングの成長や、コーチングが自分の強みとしていつの間にか消化されているんだなということに気付けたことも、すごく面白かったです。
自分の中で課題だと思っていたのがコネクションだったんですけど、GRITというフロアコーチングを使うプログラムの特殊性もあって、プログラムの個性と自分自身というものが融合されることで、課題だと思っていたものが良い形でカバーされていて、大して課題ポイントに上がっていなくて、成長フォームに書いてもらっているコメントも割とプラスの評価をすごくしてもらえていて。
強みだなと思ってたものはそうじゃなく、もっと他にも強みがあったなとかここが苦手だなと思ってたことが1周回って、実は強みとも言えるんじゃないか、みたいなことまで気づかされる。
今までいいインストラクターになりたい、うまくなりたいとぼやっと捉えていたのが各キーエレメントごとで分析できるようになったのは本当にいい経験でしたね。
インストラクターとして大切にしていることを教えてください。
僕が一番大切にしていることが、まず初めに、絶対的に分析することですね。
それは自分自身のこともだし、参加者の雰囲気だったり、またそのクラブの状況だったりをしっかりと分析することはとても大事だと考えています。
分析をした上で、じゃあ、次にどういうアクションを起こすのかというのが大事になってくるんですけど、相反するものをあえて混ぜているような感覚ですが、まず一つは自分自身を絶対に持つということ。自分の強みだったり、こうしたい、こういうクラスが好きだ、こういうことを届けたいんだという、自分の意志を強く持つということ。
それに対してもう1つは、実際はお客様が主人公なので、お客様が求めているものって何なんだろう、ということをちゃんと分析をした上で、自分がやりたいことだけになるのではなく、また、ただ向こうが求めてるものだけをするのでもなく、自分の意志と向こうが求めてくるものとを融合させるには、どんなことができるんだろうということを常に考えながらやっています。
忘れてほしくないのは、絶対に100点が出ないという思いでクラスをするということ。
やっぱり相性だったり、タイミングだったり、向こうの感情、機嫌のようなもの、もちろん自分自身もあると思うので、100点が出にくい中でどう100点を出しにいくかというアクションを常に探す。
これはすごく自分の中で大切にしていて、維持するっていう感覚をなるべく持たずに色々失敗してもいいから試すということを常日頃考えています。
もっと実力をつけたい、インスピレーションを与えるクラスをしたいと思っているインストラクターへアドバイスをお願いします。
まずこれに関して僕が必ず答えることとしては「変化を恐れない」ということですね。
成長するということに関しては絶対的に失敗をする過程があると思うので、その失敗や変化が起こることを恐れてしまって、今できる範囲で何かをしようと思うことだけだと前進する感覚というのが生まれてこないと思っています。
失敗してもいいからといって「何でもいいや」と思うわけではなく、失敗してもいいからアクションを起こす。失敗にならないためにどんな準備をするのかというこの繰り返しが成長につながります。人の成長だったり、進化していく姿だったり、やろうとしている、前進しようとしている姿勢というのは、必ず参加者側、見ている人たちに伝わります。
インスピレーションを与えたいと思って何かをするというよりかは、自分自身が攻めている、変化をしようとしているんだっていうアクションを起こしていることが人に影響を与えると僕は思っているので、その変化を作りにいく、見つけにいくことをぜひ大切にしてほしいと思います。
今までに印象的だった失敗はありますか?
小さいことからから大きいことまで色んなことがあるんですけど、本当に日常的なところでいうと、クラスの参加者からキツめのお声をいただいたこと。しかもそれが自分の中で良かれと思っていたことに「それはやってほしくない」という声をいただいて「ああそうかこれってダメなんだ」と思ったことがあって。GRITの時にフロアコーチングでプッシュアップを頑張っている人の近くに行って、床をトントンてやりながら「もう少しですよ、頑張って」と励ますつもりでやったんですけど、その仕草がその方からすると、犬にやっているような仕草に感じて、あとは床をたたかれている感覚が威圧的に感じたから、あまりやってほしくないというのをクラスの後に言われたんです。僕はその方の背中を押したいと思って、良かれと思ってやったことだったんですけど、それがかみ合わなかったっていう。特にその声をいただいた時がGRITを日本に導入した直後ぐらいだったので、フロアコーチングということを自分の中でわからないままに取り組んでいて、いろいろ工夫してクラスをやっていた最中だったのでショックでもありましたし、「そう受け取られるんだな」とフロアコーチングというものを改めて見つめ直すきっかけになったので。その失敗は今でもすごく心に残っています
苦戦したという経験でいうと上海のLES MILLS COREの撮影の時にリハーサルでカメラの数、ライトの数、会場、あと音の強さというのに圧倒され過ぎて、音が聞き取れなくなってしまい、1個目の動きのコーチングが出せなくって、ちょっとあたふたして出演者のみんなを「こいつ、明日大丈夫か」みたいな不安そうな顔にさせてしまったという、「あっやべー」という気持ちになって。
今でもその緊張を覚えていて、その経験があったからですけど、色々な緊張する場面に出会ったときに「あれよりはマシだ」と思うようになりました。
LMQによってインストラクター、クラブにどのようなメリットがあると思いますか?
まず、インストラクターにとって自分の強みや、自分の個性、こんなクラスを展開できるってことを分析できることがとても一つ強いものだと考えています。
結果的にどういうことができるかというと「強み」、こういうところがよくて、こういう個性があるんだということを、ちゃんとクラブ側と共有しておけば、その方が持つクラスの時間帯だったり、曜日だったり、あとはどういう狙いで、タイムスケジュールのどこに配置するかなどを「ここは自分にとってチャレンジな枠だな」とか、「ここは自分にとって、強みを生かせる枠だな」ということをインストラクター自身が考えることもできるし、クラブ側もそれを考えた上でタイムスケジュールの提案ができる。これは今までになかったし、難しかったと思います。なので、LMQによってクラブにとってもインストラクターにとってもWin Winになるんじゃないかと考えています。
LMQでは〇×ではなく1~3のグレード評価を行います。谷さんも評価者としてLMQに携わりますが、主観や他の評価者との評価目線のズレなどをどのように対処しましたか?
LMQが導入されるというのを聞いた時にそれをすごく心配をしました。
今までIMTや本認定ではコネクションやパフォーマンスを認定基準に入れていない、要は主観が入るから、そこを外してスキルとしてコリオグラフィー、テクニック、コーチングで認定していますと言っていた中、それがどうなっていくんだろうって個人的にすごく思っていたんです。
でも、LMQを導入するにあたってアセッサー(評価者)になるみんなが受ける研修の中にそういう偏見を取り除いたり、目線の統一をしていく方法というものがちゃんと組み込まれていて、そういう主観をなしに真っすぐな感覚でインストラクターのことを見るということができるように、僕たちも教育を受けています。そして、それを受けたことによって、その感覚が取り払えるんだということに気付けたので、これからLMQでアセッサーをさせてもらうことに関して今は全然不安がない状態で向き合えています。
あとはこの評価制度が凄くしっかりしているなと思うところで、「スキルと基準」というのが設けられていてその基準の内容に沿って、このグレードに対してスキルと基準ではこうだから、このクラスではこうだから結果的にこのグレードを付けようということがしっかり分析できるように設計されているんです。なので、このスキルと基準というものが設けられていること、しかもそれを皆さん自身も知れるので、自分の評価をセルフフィードバックするかのように考えられるように設計されている。これは本当に素晴らしいもので、偏見やそういう感覚をうまく取っ払えるような素晴らしいシステムになっていると思っています。
認定用ビデオの撮影方法についてアドバイスをお願いします。
これはすごく重要な部分だと思うので、皆さんもしっかり考えながら、自分なりの形で撮影をしてほしいなと思うんですけど、まず初めに大切にしてほしいのは一番自分らしさが出せる環境で撮ることです。
「点を取りにいきたい」この思いは、どうしても頭に浮かぶと思いますが、その中でもそれを意識し過ぎず、一番ベストなパフォーマンスを出せている時の自分というのを思い描きながらやること、これが本当に大切になると思います。評価されるために、ここで点を取りにいこうとか、こうしてみようというのはもちろんできるし、それでもある程度評価はつきますが、LMQの3段階あるグレードのうち、最高グレードは特に面白くて、本当に自然であり、自分らしさが表現できているということがあってこそ、一番上のグレード3に辿り着ける。それこそが一番素晴らしいものとして、LMQは評価をしています。お客様の目線からするとその人が本当に輝いていて、本当に素晴らしいクラスをしていて、楽しんでいる姿を見せられてこそインスパイアされるので、点を取りにいくことは、いいクラスは出来ますが、インスパイアされる、ワクワクするクラスにはなりにくいと思います。それを忘れずにお客さんがワクワクする「この人凄い、こうなりたい」と思うようなクラスを成立させると考えた時に、やっぱり自分らしさ、まっすぐに自分が楽しんでいる姿を出すということが大事だと思います。それを一番出しやすい環境を探す。そしてそれが伝わりやすいカメラアングルを探す。遠すぎて表情が伝わりづらい、やっているアクションや、足が見切れちゃうとかで伝わりきっていないともったいないので、確実に自分の表現したいものが映るカメラアングル、表現しているものが伝わりやすい環境で撮影をしてほしいなと思います。
インストラクターの皆さんへメッセージをお願いします。
このLMQという新しい評価制度に是非トライしてほしいと思います。
LMQって何だろうって考えた時にやっぱりレベルを認定されるというのを頭に思い描くと思います。数字が付く、評価されるということに怖くなったり、特に長くキャリアを積んでいる方からすると、今さらどんな数字が付くんだろうという不安があると思います。そのような気持ちは絶対的に持つと思いますが、この評価数字というものを付けるためのポイントは各キーエレメント毎に細かい基準でしっかりと見ています。その細かい基準に合わせて、その人の「強み」や、こういうところを伸ばしていったら面白いのではないか、こんなことをしてみたらどうか、というのを成長フォームで提案します。LMQは数字を得るというだけのものでは全くなく、各キーエレメントごとに自分自身のことを分析でき、これまで歩んできた道に対して振り返ったり、未来に対してより強くこうしてみたい、こうするともっと自分の伸びしろは広がるんじゃないか、自分のインスタスターのキャリア、ジャーニーはもっとこんな形で輝かしくなるんじゃないかということを描けるはずです
自分のポテンシャルに気づける、自分の経験、歩んできた道に対して、もう一度目を向け直すことができるということにワクワクしてほしいです。
不安かもしれないし、怖いかもしれませんが、それを乗り越えて一歩踏み出し自分で自分自身のインストラクタージャーニーを前進させる、そんな経験をしてもらいたいです。