サラ・ショート:こんにちは、マーロン! BODYPUMP™ とBODYCOMBAT™ の最新作の撮影を終えたところですよね。複数のクラスを続けて撮影していかがでしたか?
マーロン・ウッズ:マスタークラスでのプレゼンテーションの怖いところは、1回撮影して「これで良い」と思ってしまうところです。でもそれを世に出してみると、否定的なことを言われたり、パフォーマンスの評価が低かったりするのです。
そのプレッシャーやストレス、不安や心配は、やってみなければ想像もつかないでしょう。一週間ずっとストレスにさらされるのです。月曜にリハーサルで何か失敗したら火曜にそれを修正する。でも、水曜日にまた何か失敗して、気がついたら金曜日に撮影ということになる。そして突然、カメラと照明と人々の前に立つことになる。そうすると、立ち方さえ忘れてしまうのです。BODYCOMBAT82の上半身ウォームアップの前半は、倒れるんじゃないかとパニックになりましたよ。
マスタークラスに全力を注ぎ込んで、そしてそれが完成すると今度は、(インストラクターや消費者に向けて発信された後の)人々の評価を気にしてまた同じストレスを自分自身に課してしまうのです。覚えておいてほしいのは、誰も最悪の仕事をしたいなんて思っていないことです。つまり誰も、「さあこれから失敗してやろう」と思ってなんかいません。
それはすごく大変そうですね。どうやってそのストレスに対処しているのですか。
私の場合は、世の中に良いも悪いもなく、ただ人の考えが善悪の判断を下しているだけだと思い出すことが大事です。
私はずっと、レネ(ボーゲル)やリーガン(カン)が、自分よりずっと優れているような気がして脅威に感じていました。私ではなく彼らが撮影に参加することになる度に、Les Millsは私を嫌っているのかもしれない、と思いました。撮影が終わって数週間もすると、みんながお互いに聞き合うのです。「次の撮影に呼ばれた?」と聞かれるのですが、私は「そんなメールはまだ受け取っていない」と言ってパニックになり、自信喪失に陥ります。
BODYPUMP™ 110を撮影する数ヶ月前に、カイリー・ゲイツと率直な話ができました。私はこう言いました。「自信を持てないんです。撮影に呼ばれないと、自分が下手だから、きっと他の人に取り替えられてしまうのだという気がして。良い仕事ができていないと感じてしまうんです」と。すると彼女は、「あなたは他の人とは全く違う個性を持っているのよ。そして、他のみんなも、あなたとは全く違う個性を持っている。他人と自分を比べて悩んじゃだめ。それよりも、自分がパズルのどこにはまるかを考えるようにして」と言ってくれました。
素敵ですね。彼女のアドバイスは、あなたの考え方にどのような影響を与えましたか?
自分自身や仲間をどう捉えるかについて、そしてより良いチームメンバーになるためにもとても役立ちました。
例えばです。BODYPUMP 110を南島で撮影したとき、私は本当はスクワットのトラックを教えたかったんです。しかし、それはベン(メイン)の担当となり、私はチェストを担当することになりました。内心、「しまった、チェストのトラックは教えたことがないし、チェストは苦手だ」と思いましたが、同時に、「この新しい教訓をどう生かそうか」とも思ったのです。
腹を立てる変わりに、使おうと思っていたキューを、彼が使うにせよ使わないにせよ、ベンに伝えることにしました。そしてこのチェストのトラックを、今までで最も自分らしくするために努力しました。今までとは違う挑戦でした。僕の個性やドラマ性、技など、能力のすべてを発揮する必要がありました。寝転がっていてはあまり踊れません。テクニカルコーチとしての強みを発揮して、冷静に落ち着いてやる必要がありました。結果としてとても楽しかったです。
撮影した中で一番好きな作品は何かと聞かれると僕はBODYPUMP 111と答えることが多いのですが、その大きな理由は110のすぐ後に取り組んだものだったからです。BODYPUMP 110は、チーム内の自分の役割の捉え方を変えてくれました。そのトラックを教えるのは本当にいわば魔法のような経験で、自分が人と比べてしまう問題を完全に解決してくれました。どのトラックに呼ばれるかが気にならなくなったのです。それよりも、このトラックで自分が何をすればチームに溶け込めるのかを考えるようになりました。そして人々がどう思うかよりも、エンドユーザーが最も素晴らしい体験をするためにどうすれば自分がこのトラックでベストを尽くせるだろうかということが重要になったのです。
ソーシャルメディアに参加すると、通知、コメント、いいね、フォロワーなどが自分のところに来ることで、世界が自分に注目しているかのような錯覚に陥りやすくなります。そしてその結果、自分がどう思われているかについての不健康なこだわりが生まれるのです。
あなたはソーシャルメディアで大きな支持を得ており、多くの人がその成功を見習いたいと思っていることでしょう。8万人以上のフォロワーを獲得するまでどんな道のりでしたか?
常に学びの連続でした。この4年間で最も大きな発見は、奇妙に聞こえるかもしれませんが、自分は実はソーシャルメディアに常に参加しているのは好きじゃないんだ、ということです。
Instagramを始めたのは2016年で、その段階での目的はジムを宣伝するためでした。ボディービルとパワーリフティングに夢中だったので、投稿はすべて、ウェイトリフティング、ワークアウト、7日間パスでジムに来てくださいとか、私の腹筋をチェックしてくださいなどなど、ボディービルダーやフィットネス関連のネタでしたが、上手くいきませんでした。次に、よくあるような、教えている様子、着ている服の写真などの投稿を始めたのですが、これも上手くいきませんでした。そして最終的に「ソーシャルメディアに真剣に取り組もう」と思うようになりました。マーロンは何が好きで、何者なのか、と。
数年前までは、私はソーシャルメディアに常に参加していなければならないと思っていて、フォロワーが思うように増えないことに不満を感じたりしていました。結局、私の不満の大部分は、何でもいいから何か投稿しないと、自分が不要な存在になってフォロワーが減ってしまうという恐怖からきていたのです。しかし、そのような投稿は私の心からの言葉では無くなってしまうのです。しかし人々が求めているのはそもそもそれ(心からの言葉)なのです。戦略的だったりあまりに意図的だったりすると、投稿がしっくりこなくて、その結果私は疲れ果て、やる気をなくしてしまいました。
1日に2回投稿しよう、今週は毎日投稿しよう、ブログを書こう、定期的にライブ配信をしよう、あれもやろう、これもやろう、と決めてやった時も何度かありましたが、後味が悪かった。だって、誰がやらなきゃいけないって言うのでしょう?もし私が言ったことをやらなかったとしても、みんなが私を指差して批判するでしょうか?私が約束を守らない人間だと思うのでしょうか?もちろん、そんなことはありません。それは、私が自分自身に課しているプレッシャーに過ぎないのです。
そこでそれをすべて手放して、「投稿したい時に、投稿したい方法で、自分の価値観に合った投稿をしよう」と決めたら、不思議なことにすぐに気持ちが楽になりました。
マーロンの、ソーシャルメディアで成功するための秘訣
- 自分の価値観や人間性に沿ったコンテンツを作る。
- オーディエンスを知る。どんなコンテンツが相手にとって価値があるか。
- 自分のスタイルを理解する。口調や性格を一貫させることで、フォロワーはあなたを知り、あなたの投稿に何を期待すればいいのかわかるようになる。
- 社交的になる。できるだけ多くのメッセージやコメントに反応するようにする。私は特に、誕生日のお祝いをするのが大好きです。すべてに返信するのは難しいが、できる限り交流することが大切。
- 多すぎるよりは少ない方が良い!
ソーシャルメディアには多くの利点がありますが、欠点として「自分中心の文化」を助長してしまうことが挙げられます。これについてはどのようにお考えですか?
数年前、フォロワーが爆発的に増えた時は、「みんな僕のことを話題にしている」と思ったんです。これは2018年、2019年頃の話です。私についてのコメントばかりで他の人について話している人は見当たらない。それで、友人のレベッカにそのことを話しました。彼女はこう言いました。「あなたを愛してるからこそわかって欲しいのだけど、世界はあなた中心に回っているわけじゃないのよ」と。僕は「どういう意味?Facebookのグループに届く通知は、全部僕に関わる通知だよ」と言うと、彼女はこう言いました。「そうね。それはあなたの通知だからよ」私は、「え?」となりました。
翌日、彼女は私にスポットライト・シンドロームについての記事のリンクを送ってくれました。私は、「ありがとう。僕はなんて馬鹿だったんだ」と言いましたよ。ソーシャルメディアは、他人に自分がどう写るかに執着することで成り立っているのだと気づかされ目から鱗が落ちました。
SNSでどう思われているか、気になりませんか?
「ソンダー」という言葉を聞いたことがありますか?「ソンダー」というコンセプトは、あなたが出会う一人一人にそれぞれの人生があり、その人はあなたが決して出会うことのない何千もの人々に出会ってきたのだと認識することです。彼らには彼ら自身の物語があり、苦労があります。彼らにはそれぞれの友人がいて、誕生日があり、記念日があり、そして失恋があるのです。あなたが出会うすべての人のそれぞれの人生を考えたら、それはもう圧倒的なものです。
私たちは自分自身の宇宙の中心です。生まれた瞬間から、すべてが自分中心です。最初の一歩、最初の言葉、最初の誕生日。あなたの成績、あなたの学校の写真、あなたの初デート・・・。
ソーシャルメディアに参加すると、通知、コメント、「いいね!」、フォロワーなどが全部自分に来るので、すべてが自分中心だと錯覚してしまいがちなのです。その結果、人々が自分をどう思っているかということについて不健康なこだわりが生まれるのです。
しかし、もし私たちがそのメンタリティを他の人々に当てはめてみると、誰もあなたのことなど考えていないことに気づくでしょう。なぜなら、彼らも自分のことを考えているからです。つまり、もし私が自分のこと、好きなもの、コメント、フォロワー、学校、仕事、配偶者、友人、家族、犬、猫、請求書、悩み、ストレスなどだけを考えているなら、他の人は何を考えていると思いますか?
例えばこういうことです。シャツにシミがついたら、1日が台無しになったりしますね。なぜならそのシミにこだわってしまうからです。でも、「先週、シャツにシミがある人を何人見ただろう?あるいは、髪型の乱れた人を何人みたか、デオドラントを忘れた人は何人いたっけ?」と考えるのです。スクロールして通り過ぎる間しか見てないという意味で、ソーシャルメディアと人生は似ているのです。誰かがあなたとすれ違って、シャツのシミを見るかもしれません。でも、その瞬間が過ぎればもう忘れてしまいます。家で「あの人はシャツにシミがあったからきっと人生がどうしようもないんだろうな」なんて考えているわけないのです。結局のところ誰も気にしていないのですから、最近は自分にプレッシャーをかけないようにしています。
この姿勢のおかげで、もっとリラックスし、失敗しても大丈夫だと思えるようになりました。なぜなら、本当に誰も私のことなど考えていないからです。ある人は夕食に何を食べようか考えています。またある人は、恋人に「ねえ、話があるんだ」と言われた理由を気にしています。
みんなの期待に応える必要はないんだと思うと、とても自由な気持ちになりました。たとえ最悪の事態が起こったとしても、人は必ず前進します。人にはそれぞれの人生があり、みんながほとんど自分のことだけ考えているのだということに気づいたことで、とてもほっとしました。
マーロン・ウッズはBODYCOMBATとBODYPUMPのトレーナーであり、LES MILLS TONE™のプレゼンターも務めています。また、BODYCOMBATとBODYPUMPのLes Millsアンバサダーでもあります。アメリカ出身で、現在はオーストラリアのシドニーに住んでおり、シドニー大学の研究室で働いています。