睡眠 vs エクササイズ:健康に重要なのは?

疲れた身体にとって、一番良いものはなんでしょうか?もうひと眠りするべきか、それともひと汗かくべきか?睡眠が体重に与える影響とは?子どもにとって一番良いのはよく眠ることか、それともよく運動することか?これらの問いについて、最新の研究を調べ上げました。

もうひと眠りするべきか、ひと汗かくべきか。健康効果が高いのは?

疲れを感じている時は、何をするべきでしょうか?目覚まし時計のスヌーズボタンに手をかけたまま、ベッドでゴロゴロするのがいいのか、それとも眠気を振り払って朝のワークアウトを開始するのがいいのか。38万人の中年男女の睡眠と身体活動のデータを調べた研究者たちは、まさにこれを明らかにしようとしました。BMJ Journalsによる研究は、睡眠と運動の相互作用を調べた初めてのもので、特に睡眠と身体活動レベルの影響がどう関連し合うのかについて明らかにしています。研究結果からは、質の悪い睡眠は寿命を縮める可能性があることが分かりました。さらに、十分な運動を行わない場合、この問題をより深刻にする可能性もあるというのです。睡眠が足りず、かつあまり運動しない被験者は、心疾患、脳卒中、ガンで死亡する可能性が57%高いという結果が示されました。運動と睡眠を天秤にかけた場合どちらのメリットが大きいかというと、これは個人差があると専門家は言います。しかしながら、適度な運動は、不健康な睡眠パターンによる健康への悪影響を軽減する可能性があります(ただし睡眠不足のときに運動しても身体にとってあまりメリットはありません)。つまり、睡眠時間にかかわらず、定期的に運動をしていれば、運動もせず睡眠も不足している人に比べると良い結果が得られる可能性が高いということです。

適度な運動は、不健康な睡眠パターンによる健康への悪影響を軽減する可能性があります。

ダイエットや運動は一旦忘れて。睡眠でスリムになれる?

長年の研究により、睡眠と体重の興味深い関係が示されてきました。ある韓国の研究は、睡眠不足は脂肪量増加や肥満と関連性があると示唆しました。また別の研究では、一晩の睡眠が5.5時間の被験者は(8.5時間の睡眠に比べ)、カロリー制限ダイエットによる脂肪減少の割合が少なくなることが分かりました。スウェーデンの研究では、体重増加に対する睡眠パターンと腸内細菌叢の役割の関係が発見されました。そしてアメリカの睡眠研究者は、睡眠時間が1時間少ないだけで、身体組成の変化に悪影響を及ぼすということを明らかにしました。しかしこれらの研究は範囲が限定的であり、減量成功と呼べる12ヶ月以上にわたって体重が5%減少するところまでの検証はできていません。そこで今回初めて、長期的な減量を成功させる睡眠と身体活動の関係について、大規模な横断的研究が発表されました。研究者らは、身体活動レベル、睡眠時間、座って過ごす時間などについて測定した結果、これらそれぞれの要素と減量の成功の間には有意な関係がないことを明らかにしました。ただしこれらの要素を組み合わせると、座って過ごす時間に関わらず、週に150分間の中・高強度のエクササイズを行った方が長期的な減量に成功する可能性が高まるということが分かったのです。研究者らによると、次のステップは、より多くのサンプル数を用いて、様々な種類のエクササイズを睡眠の質の指標とともに分析することだということです。

睡眠の質を向上させるには?

もっと質の高い睡眠を取りたい、リラックスしてストレスを減らしたい。そう思う方は、布団に入る前に軽いヨガやストレッチ、メディテーションの時間を取り入れてみましょう。ある研究で、被験者がBODYBALANCE™のヨガプログラムに沿って20〜30分のストレッチと10分のメディテーションを行ったところ、寝る前に行う運動に効果があるということが明らかになりました。これを週に3回、2週間ほど行った後に睡眠の質を測ったところ、15%もの改善が見られ、他にも日常生活におけるモチベーションや自信、満足度の向上、さらに不安や緊張、悲しい気持ちが和らいだという結果が得られたのです。

よく眠り、よく運動する。子どもたちにもっとも必要なこと

子どもたちの運動時間、睡眠時間、座って過ごす時間の最適なバランスを実現できるようサポートすることが重要であることには疑問の余地がありません。しかし、親なら誰もが知っているように、それは簡単なことではありません。1日に9〜11時間の睡眠、60分運動、そしてテレビなど画面を見ながらの遊びを2時間以内とする国際的なガイドラインを普段から守れている子どもは全体のたった7%です。そこで、子どもたちの心身の健康実現に最も効果的と思われる活動がどのようなものかを調べた研究が最近行われました。1,179人の11〜12歳の子どもを対象に、睡眠時間、座ったまま過ごす時間、軽い運動や中・高強度の運動時間を算出し、それらが心の健康、肉体的な健康、学業成績などの向上にどう影響したかについて調べました。その結果、分単位では、中・高強度の運動は睡眠や座ったまま過ごす時間に比べて2〜6倍も効果があるということが分かりました。このことから、子どもの心身の健康をもっともスピーディーかつ効果的に増進する方法は身体を動かすことであり、短い時間でも子どもが活発に過ごす時間の費用対効果は高いということが分かりました。

分単位では、中・高強度の運動は睡眠や座ったまま過ごす時間に比べて2〜6倍も効果があるということが分かりました。