この記事では以下について学べます:
• どんなエクササイズでも瞑想効果が得られる理由
• 指導にマインドフルネスを活かすには
• トラウマに精通したトレーナーになるには
• エクササイズをメンタルヘルスに役立てるには
トラウマ治療を専門とするローラ・コウダリは、パーソナルトレーナーとして、ストレングストレーニングを通して患者が癒しを得られるよう支援を行っています。彼女によると、エクササイズを通じてメンタルヘルスを改善する際に重要なのは、身体に意識を集中させることと、動きや環境を自分のために機能させる方法を見出すことだといいます。
このような仕事に就いた経緯とは?
ローラ・コウダリ:子どもの頃は運動が大嫌いで、体育の授業は一番苦手な科目でした。20歳の時に腰を痛め、腰椎の椎間板ヘルニアであることが分かりました。私が治療として勧められたのは、手術ではなく、理学療法とストレングストレーニングでした。理学療法を行うと痛みを抑えられたものの、まだ痛みが残っており、まだ20代なのにゆっくりしか動くことができなかったのです。大学卒業後、ニューヨークの実家に戻ると、母に「もう70歳の人みたいに歩くあなたを見ているのが嫌だわ。私のパーソナルトレーナーに会ってみてちょうだい」と言われました。しぶしぶ承諾はしたものの、気が進みませんでした。
母のトレーナーのビッグ・エドは、すごく人柄の良い人でした。ジムに行くのは本当に嫌だったのに、彼のおかげで安心して通うことができました。私は自分の身体が嫌いで、自分の身体を誰かに見られるのも嫌でした。自意識過剰になっていたのです。外見は平均的だと思っていますが、自己評価が低くなり自分の外見に自信がなくなっていました。そして「太っているからジムに行きたくない。ジムに行けるようなスタイルじゃない」などとよく口にしていました。フィットネスの専門家に言わせれば、「だからこそジムに行くんでしょう」。でもこの時のハードルは本当に高かった。でも、ビッグ・エドはそんな私にジムに行こうと思わせてくれました。それから何年もの間一緒に頑張って、腰痛もなくなったのです。最高の気分でした。
30歳半ば、私はオリンピックのウェイトリフティングにはまりました。その頃は、まだクロスフィットがブームになる前だったので、30代の女性がオリンピックのウェイトリフティングやパワーリフティングに夢中だなんて、かなり変わっているのかなとは思いました。でも、自分が強くなれる感じ、力強くなった感覚が好きでした。しかし残念なことに、ちょうどその頃、急性の心的外傷(トラウマ)を経験し、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症してしまったのです。
ジムはそれまでの私にとって、安全で、力強さを感じられる最高の場所でしたが、ある日突然そういう場所ではなくなってしまいました。ただジムは私が強さを取り戻せる唯一の場所なのだと思い、それまでになく激しいトレーニングを始めました。私は自分の身体をマシンのように扱い、痛みを感じた時にも、トレーニングで解消できると思いました。
痛みがひどくなっても、無視してました。あげく痛みは悪化し、最終的に腰の状態が非常に悪くなり、何週間も何ヶ月もベッドから出られなくなりました。坐骨神経痛もひどく、左下肢もうまく動かせませんでした。しばらくの間は歩くこともできませんでした。どうしたらジムにまた通えるようになるのか、どうしたら安心してトレーニングを再開できるのかを考える必要がありました。それは、精神的なトラウマだけでなく、身体的なトラウマも抱えてしまい、体重を増やすことに恐怖を感じ始めてしまっていたのです。
トラウマ克服ヨガを試したところ、非常に良い体験でした。ジム通いも良かったのですが、ヨガを通じて回復が早まっていったのです。コーチを見つけ、ゆっくりと時間をかけて元の生活を取り戻しました。こうして癒される内、この方法をみんなに伝えたいと思い、トラウマに精通したパーソナルトレーナーになったのです。
トラウマに敏感であることとトラウマに精通していることの違いとは?
トラウマに敏感なトレーナーとは、神経に負担がかかると、ケガをしやすく、上達も望めないということを理解している人のことです。トレーナーは、音を上げる時こそもっと頑張れと指導することが多いですが、このやり方では目標を達成できないこともあります。彼らに制限があることを尊重していないことになるからです。トラウマに敏感なトレーナーは、トラウマがどのように身体に現れるかを知っています。トレーニング中に何か問題が生じても、安心してトレーニングできるような空間を提供することができます。
一方トラウマに精通したトレーナーとは、トラウマを克服するために必要な作業についてより深い理解がある人のことです。私がトレーニングのサポートに入る時、何を目標にするかについて話しますが、だいたいが「地に足が着いていると感じられるようになりたい」「もっと回復できると感じられるようになりたい」といったものです。集中的なセラピーを受けている人なら、神経系を優先し、運動によって力付けられる感覚を得やすいようにして、セラピーによる回復を促進することができます。(ただしこれらは私の個人的な定義です。こうした認定書を与える機関はなく、これらは仕事の中で私が学んできたものです。)
トラウマから回復するためには、まず自分自身を受け止めることで、それが感じられれば周囲の環境にも順応できるようになります。この安心感なしには、会話療法や家族への打ち明けなど、その他の治療を進めることはできません。トラウマに精通したトレーナーは、このように、よりセラピーに近い癒しの作業をするものだと思います。セラピーを深く学び、セラピー中にできるサポートスキルを身に付けながら、トレーニングプログラムを作成するスキルも持っている人なのです。
トラウマ克服に役立つ運動はたくさんあり、その選択肢が豊富であることは素晴らしいことです。しかし私が専門にしているのはストレングストレーニングで、慢性的な痛み、姿勢の問題、全身の不快感、生活の質を向上させるために必要なことなど、何か特定のものの改善を求めて行うものです。ニューヨークでは車を持っている人が少ないため、「買い物を自宅まで持って帰れるようになりたい」と目標を掲げる人は少なくありません。近り町のスーパーに買い物に行き、帰りは荷物を持ちながら地下鉄で帰宅。この場合、重たい荷物を運べるようにするために、肩を強化する効果のあるオフセットキャリーに取り組むと良いでしょう。
ジムはそれまでの私にとって、安全で、力強さを感じられる最高の場所でしたが、ある日突然そういう場所ではなくなってしまいました。ただジムは私が強さを取り戻せる唯一の場所なのだと思い、それまでになく激しいトレーニングを始めました。私は自分の身体をマシンのように扱い、痛みを感じた時にも、トレーニングで解消できると思いました。
グループフィットネスインストラクターである私たちは、ワークアウトの間は参加者にフォーカスしています。自分自身の身体をより意識するにはどうしたらいいでしょうか?
クラスのない時に、自分の身体に意識を向け、不快感や痛みがあれば対処するようにしましょう。例えば肘が気になるようなら、クラス前に5分から10分時間を取り、身体が何を求めているのかを確認し、その部分を意識して、本当に気持ちのいいゆっくりした動きをしてみましょう。
他の活動で自分の身体と向き合うことも重要です。私の場合はストレングストレーニングですが、歯磨きでも、皿洗いでも、犬の散歩でも、文字通りどんな活動でもいいです。新しいことを始める必要はありません。普段やっていることの中から、自分の身体がどう感じているかについてもっと興味を持てるものを見つけましょう。そうすれば自分の体を意識するようになります。
自分の身体に意識を向け、定期的にチェックする習慣は、クラスを教えるときにも役立つでしょう。クラスを教えているときに自分の身体と向き合えるようになることで、部屋のエネルギーが少し重いと感じたり、ちょっとハードすぎると感じることができるようになり、その場その場で適切に対応することができるようになります。集中し、自分の意識をバロメーターにすることで、臨機応変に調整できるようになりましょう。
マインドフルのエクササイズといえば、これまでヨガなどのゆっくりした運動をイメージしてきました。ストレングストレーニングがマインドフルにも効果的という理由について教えてください。
ウェイトリフティングが癒しになるという考えは、実はヒーリングの先生である私の友人から聞いたものです。
子どもの頃、私は断続的に瞑想のトレーニングを行っていました。夏休みになると両親が私をアート系キャンプに送り込み、13歳の時からそのキャンプで瞑想クラスに参加し始めたのです。それから何年か後にオリンピックのウェイトリフティングと出会った私は、ヘビーデッドリフトをやっている自分の動画をSNSにあげました。その時友人に、毎日瞑想していないこと後ろめたく思っていると伝えたところ「何を言っているの?Facebookの動画を見たけど、あれをやるには身体がしっかりと地に足がついている状態じゃないとできないことじゃない」と、言われたのです。
そのときにリフティングも瞑想効果があると気づいたのです。淡いピンクやパステル、天使だけが癒しの象徴ではないのです。もちろんそれがあなたの好みならば何の問題もありませんが、みんなが同じとは限らないのです。私がすごく居心地が良かった場所はバーベルのあるジムだったのです。そこに私のコミュニティーがあり、私が安心して身体に集中できる場所だったのです。
私にとっての「アハ体験」は他にもあり、それはシングルレッグ ルーマニアン デッドリフトが実はヨガのウォーリアー3のポーズと同じだと気付いた時です。ケトルベルを持っている違いはありますが、基本的には同じ動作パターンです。私たちの身体は無限に動かせるわけではありません。ではどうすればより“マインドフル”な動きになるのでしょうか?それはアプローチしだいです。
腰を痛める前に通っていたヨガクラスでは、ヨガをものにしたいと思っていました。自分がどう感じるかではなく、動ける自分をみんなに見てもらいたかったのです。感情とか精神とかではなく、パフォーマンスを重視していました。ヨガは多くのことに役立ちましたが、私にとっては何か体現できた気分にはなれなかったのです。ウェイトリフティングを始めたときは、腰痛持ちであるため、ケガをしないためにどのようにして負荷をかけていけばいいのか慎重でした。
練習施設には鏡はなく、誰にも見られない環境です。みんなヘッドフォンを付け、自身のワークアウトに没頭しています。ヨガや瞑想のクラスに行くように、自分のコミュニティー内で、自分がやりたいことができるのです。同じ考えをもった人と、自分の身体に焦点を当てて動ける時間が持てるのです。 great programs in other countries that can help you gain a foundation, and from there you can figure out which areas you want to explore more deeply."
メンタルヘルスをサポートするエクササイズ習慣を身に付けるコツ
まずは治療の目的をはっきりさせることです。例えば、うつ病や不安症の傾向がある人は、神経系に負担がかかったときの働きに違いがあるので、そうしたものに対処する動きが必要です。あるいはメンタルヘルスが睡眠に影響しているなら、より良い睡眠をサポートするプログラムを選ぶことになります。
また、自宅であれジムであれ屋外であれ、自分が気持ちよくワークアウトするにはどんな環境が必要かを考えること、つまり自分が安心できる環境を整えることも重要です。エクササイズするのはどの時間帯か?どんなイクイップメントが必要か?男女兼用のトイレは必要か?ダイバーシティやインクルージョンに積極的に取り組む場所がいいか?仕事に行く前に使えるシャワー設備はあるか?など自分でチェックリストを作ってみましょう。オンラインワークアウトをする人は、Wi-Fiの通信速度は十分か?グループクラスであれば、全員がカメラオンにすることが重要か?あるいはカメラを常時オンにしなくてもよいか?などなど。
必要なものについて考えてみるのもいいでしょう。これには会員証といった分かりやすいものから、私のトレーニングに興味を持っている友人がいて、その人にトレーニング話をする時にいい話をしたいなど。そういう誰か、あるいは何かを考えることでトレーニングの質が上がるのであればそれも念頭に入れておくといいでしょう。
長く続けるためには、計画や準備が大切です。私はワークアウトに必要なものをリストアップするようみんなに勧めています。気分が落ち込んでいる時には、そのリストが必要なものを思い出させてくれるかもしれません。辛い思いをしていると重要なことが思い出せなくなることがありますが、リストを用意しておけばいつでも参照することができます。人生のどん底だと思う時にも、リストを見返せば、「デイビッド(夫)に話せば私の成果を喜んでくれるはず」と思い出させてくれるのです。自分が成功するための計画を立てましょう。
トラウマ治療を専門とし、パーソナルトレーナーの資格を持つローラ・コウダリは、トラウマを癒し、メンタルヘルスとウェルネスを育むために必要なツールを人々に提供することに情熱を注いでいます。彼女の働きはトラウマを抱えた人々やフィットネスコミュニティーに広く知られており、NPR、Buzzfeed、UpWorthy、Outside Online、Medium、Vice、Nikeなどのメディアでも紹介されています。現在彼女はニューヨークで家族と2匹の猫と暮らしています。
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